2018年5月11日号 Vol.325

[第88回]
キャブ歴30周年を迎えました


先月このコラムの書き出しで、「30年近くキャブを運転していると…」と何気なく書きましたが、よく考えたら今年3月30日のキャブ免許更新で、ちょうど30年だったことにハタと気付きました。
30年の間に、日本に行ったことがある人とか、日本に在住経験がある人も増え、当然そういうお客さんを乗せることも増えたと思います。そういうお客さんとの会話のきっかけはケースバイケースですが、お客さんが僕のライセンスIDの名前を見て、「あなたは日本人ですか?」と聞いてくることが多いです。
つい最近乗せた中年の白人女性は、10年間大阪に住んで英語を教えていたと言っていました。「10年も住んだのなら、もしかして関西弁を喋るんですか?」と聞くと、なんと見事な関西弁を披露してくれました。白人女性が関西弁を流暢に喋るというのも奇なものです。まるで大阪のおばちゃん(僕の叔母ちゃんではなく、一般的な意味で)。目的地に着くまで、つくづく感心しながらこの女性との会話を楽しみました。
それからこれは去年の話。真夜中にレキシントンのグラセン近くで、70代くらいのでっぷり太った白人男性を乗せました。ブルックリンのパークスロープまでの道中、「景気はどう?」みたいな感じで話しかけてきたので、僕が「TLC(ニューヨーク市タクシー&リムジン協会)にはいじめられるし〜」みたいな話をしているうちに、僕が日本人だとわかったみたいでした。
しかも僕の故郷・福岡県に、学生時代に住んでいたそうで、お互いに一気に親近感アップ。このおじさん、名刺までくれて、「今度酒でも飲もう」と。名刺をみると、マーケティング会社の社長さんでした。名刺の表は英語、裏が日本語ってことは、きっと日本人の顧客もいるんでしょう。
で、印刷されたカタカナの名字が「ビックリー」さんで、ビックリ。ツッコむ前に目的地についてしまって残念でした。それが去年の暮れで、未だに連絡していませんが、せっかくなのでこのコラムでも土産に酒にでも誘ってみようかな。
もう一つ。大阪に半年ほど住んだという女性を乗せたところ、「大阪は食べ物が安くて美味しい。おかげで舌が肥えた」と熱弁をいただきました。話に気を取られ、曲がるべき角で曲がり損ね、遠回りする羽目に。それでもこの女性、「ノー・プロブレム!」と大笑いして、チップをドン!とくれました。
この女性に限らず、日本ゆかりのお客さんからは、いつもチップを弾んでいただきます。ありがたや、ありがたや。(白石良一)



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