2022年9月2日号 Vol.429

right
ちいさなことにも笑いと幸せを

HRS Happyman
グラフィック・デザイナー/ライター/不動産エージェント

・出身:東京都

写楽の浮世絵版は2種類

ニューヨーク市内すべてのレストランで提示が義務付けられている「食べ物が喉に詰まった時の処置法=Choking Victim First Aid」ポスター。だが出回っているポスターはどれも型通りで面白みに欠け、店の内装にそぐわないことも多い。不動産エージェントとしての仕事の傍ら、デザイナーとしても活動中のHRS Happymanは今年2月、「ちいさなことにも笑いと幸せを」をテーマにユーモラスな10種類のChoking Victim First Aidポスターを発表・販売した。作品のいくつかは現在Estancia、Rachines、 Forever Coffee、Clementineなどで使用されている。

★Choking Victim ポスター制作に至ったきっかけ
不動産に転身する前は、ニューヨークのレストラン業界でグラフィック・デザイン、PR、コピーライティング、広告制作に15年ほど携わっていたんです。レストランのオープン時にはいつも、店のイメージに即したデザインのポスターを制作していました。今回のシリーズ制作は、僕がイラストレーターのotokonokoto君に「ゲイバー用にちょっとエッチなヴァージョンを作ってみないか」と持ちかけたのがきっかけで実現しました(笑)。

★ポスターのテーマと寄付
まずゲイバー向けのポスターを2種類作って、その後、さまざまなレストラン(日本食レストランからカジュアル、アッパーダイニングまで)が使えるように、8ヴァージョンを追加。どのポスターもユーモアがテーマなので、見た人に笑ってもらえれば嬉しいですね。ゲイバー用2種については、収益の一部をブロンクスのLGBTQセンター「Destination Tomorrow」 への寄付を予定しています。元々はLGBTQのアート・プログラムに寄付しようと思っていましたが、コロナ・パンデミック中に現在住んでいるサウス・ブロンクスでトランスジェンダーが4人も殺されたことを知り、考えを変えました。ニューヨークの住居システムは、残念ながら彼女たちを完全にサポートできる体制にありません。本当の意味での「Choking Victim」は彼女たちのことですよね?otokonokoto君にも話して決めました。



★これからのビジョン
パンデミック中は時間がたくさんあったため、文章を書き始めました。ニューヨーク、LGBTQ、不動産や住居問題、アート、ホイットニー・ヒューストンなど。デザインよりも正直で、自分の個性が表現できる「文章」の柔軟性が今は気に入っています。最近では、90年代からニューヨークでストリート・アートをベースに作品作りをしてきたscopOphilic(スコポフィリック)というクリエイティブ・チームとのインタビューが、ウェブサイト「newTOKYO(https://the-new-tokyo.com)」で掲載されました。実現したいゴールはいくつもありますが、まずは文章で色々なことを表現・発信し続けたいと思っています。

ポスター販売サイト(etsy)
https://www.etsy.com/shop/happymixcrew2021
https://gohappyman.com

Tweet
HOME