2021年5月28日号 Vol.398

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次世代の目標になりたい
西山 由芙
ミュージシャン、コンポーザー

Yu Nishiyama
・出身:神奈川県

★ミュージシャンになろうと思ったきっかけは?
高校受験の時に、「楽しそう!」と思い、音楽科のある高校に進学。卒業後に、「アメリカに行ってみたい!」と思い、その時の「武器」だったサックスで進学できるアメリカの音楽大学に入学しました。やめようかなと思ったこともありますが、周りの人に支えられながら何とか続けてきました。人生がガラッと変わるような事件に巻き込まれて精神的に不安定だった頃、自分の感情をストレートに表現できる方法(作曲)があって本当に良かった、救われた、と思ったことがあります。「きっかけ」というよりも、「これからも続けていく理由を見つけた」、というような感じです。

★影響を受けた人、目標とする人は?
影響を受けたのは、日本で通っていた音楽高校で教壇に立たれていたジャズピアノの先生、Yuki Arimasaさんです。アメリカの大学を卒業後、現地で教えていらっしゃったそうで、日本ではあまり見かけないような自由な雰囲気や、失敗を恐れない姿勢に憧れました。目標とする人を一人あげるとすればRoxy Coss。とても素敵な音楽を作るのはもちろんのこと、団体「WIJO (Women in Jazz Organization)」を立ち上げ、ジャズ界に置ける女性ジャズミュージシャンや学生の地位向上に関連する活動を行なっています。「差別されている側の立場から声をあげる」というバイタリティを尊敬していて、私も見習いたいと思っています。



★The ASCAP Foundation主催・ジャズ作曲賞「Herb Alpert Young Jazz Composer Awards」を受賞されましたが、評価された理由を分析すると?
テーマ「Honorary Whites(名誉人種:人種差別政策を行っている政権・制度下で本来ならば差別されるはずの人種を、差別されない側の人種として扱う制度)」を抽象的な「音楽」を通して表現した部分でしょうか。3つの異なる世界観=私が感じた「白人のコミュニティー」「黒人のコミュニティー」「そのどちらにも属しないフラストレーションを抱えている私の世界観」=が、できるだけ明確に伝わるように作曲しました。

西山さん率いるビッグバンド

★NYを活動の拠点に選んだ理由は?
テキサスの大学(University of North Texas)を卒業後、ニューヨークに来ました。テキサスでは経験できなかったことが、ニューヨークにはたくさんあります。様々なバックグラウンドをもつ方々がいて、洗練されたミュージシャンが多くいること、あちこちで毎晩のように世界レベルのミュージシャンが演奏していることなどに魅力を感じています。

★どういうアーティストに成りたい? 目指すものは?
次世代の目標になれるようなアーティスト。他人にどう見られるか・見せたいのか、ということよりも、音楽を通して「何を表現したいのか」ということに重きを置くようにしていきたい。ジャズ界では、女性やアジア人のミュージシャンが比較的少ないので、私と似たようなバックグラウンドの子どもたちのロールモデルになれたら嬉しいです。

★今後の予定は?
Yu Nishiyama Big Bandのデビューアルバム「A Lotus in the Mud」を今夏にリリースします。今後、ビッグバンドの18人が集まって安全に演奏できる状況になっていれば記念ライブも開催したいです。

yunishiyama1@gmail.com
www.yunishiyama.com
instagram.com/yunishiyama
facebook.com/YuNishiyamaMusic


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