2021年5月14日号 Vol.397

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芸術に寄り添い生きる
川久 幸
役者、 パフォーミングアーティスト

Yuki Kawahisa
出身:兵庫県

★役者になろうと思ったきっかけは?
気がついたらやっていたという感じですが、直接のきっかけはカナダのバンクーバーに語学留学していた時、通っていた英会話学校に「ドラマクラス」というのがあり、それが本当に楽しかったこと。日本での演劇経験が少しありましたが面倒くさいことが多く、もう二度とやらないと思っていました。でも「ドラマクラス」での学習をきっかけに舞台への情熱に火がつき、学校以外でも英語で脚本を書き、演じるようになりました。

★影響を受けた人、目標とする人は?
特定の人物ではないのですが、バリ島で3ヵ月、芸術研修を受けた経験が、自分のアーティストとしての生き方に大きく影響していると思います。「歌う、踊る、創る」など、私たちが「芸術」として特別視していることが、バリの人々にとっては日常であり生活の一部。それらは「当たり前のこと、ごくごく普通にそこに在るもの」という彼らの生き方に、驚きと憧れを強く感じました。尊敬する人はたくさんいますが、目標とする人物はいません。芸術と共に寄り添い生きること、そしてずっと続けていくことを目標にしています。



★これまでに印象に残っているご自身のパフォーマンスは?
初めてカナダで自作自演の一人芝居をやった時(The Kimono Loosened)、初日の観客はボランティアの人と友人の3人でした。その舞台は、生まれて初めて新聞で批評されただけでなく、高い評価を頂きました。あの時の嬉しさは忘れません。おかげで観客3人から始まった舞台は、千秋楽を満員で迎え、フェスティバルに招待されたり、ツアーにまわったりすることもできました。あれから、ニューヨークタイムズを含め、沢山の新聞批評を頂いていますが、最初の一つがなければ、続けられていなかったかもしれません。ツアーは単独だったので大変でしたが、だからこそ学ぶことも多く、その経験は私の原点であり、「いつでもまた、あそこから始められる」という自信に繋がりました。

自作自演の一人芝居「The Kimono Loosened」

★「変身劇場:一日一本ビデオ劇 ある朝、目を覚ましたユキはクマに変身していた!」始めたきっかけ、目指していることなど
ロックダウン直前まで舞台に立っていましたが、千秋楽を迎えることは叶いませんでした。先のことを考えると不安で仕方なく、何かをやらずにいられなかった。何かしよう、くだらないことをしよう、笑いを生もうと思い、始めました。「毎日変わらないもの」があることに救いを見つけてくれる人たちがいて、私はそれに励まされ、続けています。今ではまるで修行のように、1年以上、毎日欠かさず作っています。目指しているのは、創作人として理想とする生き方の実行、そして継続が力になり糧となるということの自分への証明です。

「変身劇場」はインスタで公開中

★NYを活動の拠点に選んだ理由は?
舞台をやるため。ビザの関係でカナダでの活動ができなくなった時、アメリカでは、能力さえ認められればアーティストとしてビサや永住権を習得できると知りました。やりたいのは舞台、マイノリティとしての活動の可能性の有無。ニューヨークを選んだのは「必然」です。

★どういうアーティストに成りたい? 目指すものは?
日本人の株を上げられるような素敵な日本人、一緒に仕事をした人が他の人たちにも勧めてくれ、必ずまた一緒にやりたいと思ってくれるような、また人間としても魅力的なアーティストでありたい。そして何より目指しているのは、ずっと続けていくこと。

★今後の予定は?
とりあえず、舞台に立てる日が来るまではクマに変身したままかと(笑)。

info.yukikawahisa@gmail.com
www.yukikawahisa.com
https://www.instagram.com/yuki_kawahisa


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