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「捨てられる着物に、もう一度光を」NYで語られたアップサイクルの未来
大量廃棄される着物、日米アーティストが語る再生の力
湯川晴美さん x サラ・サカナカさん
寄稿:松本真由美(和歌山県人会)
日本で年間100万着以上が破棄されていると言われている着物。最高級の絹が使われているにも関わらず、売っても二束三文にしかならないのが現状だ。
和歌山県在住の着物アップサイクルアーティスト・湯川晴美さんが5月10日に行われたジャパンパレードに参加。パレード後、ニューヨークでアップサイクル商品を手がける日系アメリカ人デザイナー、サラ・サカナカさんのアトリエを訪れ、「着物の未来」について語り合った。
湯川さんは「緋衣草(ひごろもそう)」というブランドを立ち上げ、古い着物を現代的なファッションへと再生。サラさんは「Considered Objects」を展開し、持続可能なものづくりに取り組んでいる。二人は、価値を失ったとされる着物にもう一度命を吹き込む意義を共有し、その可能性について熱く語り合った。

―アップサイクル商品を作り始めたきっかけは何ですか。
サラ:父は建築家で母は画家という家庭で育ったため、よく子供の頃から裁縫をしたり自分の手でものを作ったりしていました。祖母の形見の着物がたくさんあり、それでシャツを作ってみたのがきっかけです。それからたくさんの着物が捨てられているという事実を知り、両親を通して知り合いから不要になった着物を集め、作り始めました。
湯川:私も不要になった着物が大量に破棄されていることを知り、作り始めました。知り合いからたくさん着物の寄付がありますが、ほとんどが新品です。でも古いので生地も弱くなっていて、洗えないので試行錯誤しながら商品を作っています。
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―日本でもアップサイクル文化が根付いていますか?
湯川:残念ながら日本では着物のアップサイクル文化はまだ根付いていません。日本には着物が溢れているため着物の価値が低く、自分で着付けができる人も少なく、生地が簡単にリメイクできるものではないので破棄されることが多いです。
サラ:それは残念ですね。着物はクリエイティブにデザインできるのでスタイリングしだいではファッショナブルに着こなすことができます。実際、近年のパリやミラノのファッションウィークでは、参加者がパーティーやイベントなどで着物を取り入れたドレスや上着を着ているのがよく見受けられます。
湯川:海外の方が着物に注目し、かっこよく着こなしてくれると日本人も着物文化を見直すきっかけになるかもしれませんね。


―どうして日本では着物がファッションに取り入れられにくいのだと思いますか?
湯川:今はファストファッションなど流行のものが安い価格で手に入ります。着物は取り扱いも難しいし、お年寄りが着るイメージが強いのであまり人気がないのかもしれません。また、伝統文化である着物をカジュアルに着崩して着ることを「良し」としない方達もいらっしゃいます。このようなことが日本で着物ファッションが流行しない要因ではないかと思っています。
サラ:それには適切な「教育」が必要ですね。例えば、私が作っているシャツは一見普通のシャツに見えます。でも、実はそのシャツが不要になった着物で作られていて、どこから来たか、どんな人が持っていたか等、その着物の持つストーリーを説明していくとそのシャツが特別な一品になります。何でも手軽に手に入る現代では、そういう商品が持つストーリーによってお客さんが感銘を受け、ファンになってくれることが多いです。また、マーケットを正確に把握することも大事です。私はアーティストなので何かを作り出すことは得意ですがマーケティングの知識が全くありません。幸いなことに今、マーケティングのパートナーができてからたくさん商品が売れるようになりました。これからも、世界中の人にアップサイクルされた商品を身につけることがファッショナブルだと思ってもらえるように頑張っていきましょう。
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日本人として、日本伝統の「着物」が大量に破棄されている現状は残念でならない。その昔、ハワイに移民した日本人の母親たちが、子供のために古い着物をアップサイクルしシャツを作ったことが現在のアロハシャツ(正式にはハワイアンシャツ)のルーツと言われている。「着物=Cool」という認識も広がりつつある今、アップサイクル着物の明るい未来に期待したい。