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Detail 123:領土拡張へ プーチンの野望

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発足した暫定政権は、大統領選を5月に行うと発表、EU協定の署名と国の司法制度・政治・財政・経済政策の改革を約束、これら改革の実行を条件にIMF=国際通貨基金から180億ドル以上の融資の約束を取り付けた。

情勢を注視して逆転の機を測っていたプーチンは、親露派の活動家が多く住むウクライナ南部のクリミア半島に目をつけ、親露派による集会を連日のように開かせていた。

クリミヤはソ連時代、黒海艦隊の根拠地でロシア共和国の領地だったが、スターリン死後に権力の座についたニキタ・フルシチョフが、「ロシア・ウクライナ両共和国の友好の証」としてウクライナに割譲した歴史がある。ソ連崩壊後、ウクライナがセヴァストポリ海軍基地に駐留していた黒海艦隊の一部の所有権を主張したため、ロシアとの間で対立が生じ、ウクライナへの帰属を望まないロシア系住民を中心に分離独立の動きが表面化、セヴァストポリのみロシアの支配権を認め、残りは「クリミヤ自治共和国」としてウクライナ領となった||という経緯がある。プーチンは、かねてこれを不満としていたので、革命による混乱を機にクリミヤ全体の「占領」を思い立ったのだった。

条約署名式
クリミア共和国とセヴァストポリのロシア編入に関する条約署名式で(左から)セルゲイ・アクショーノフ、ウラジーミル・コンスタンチノフ、ウラジーミル・プーチン、アレクセイ・チャリ(18 March 2014, CC BY 4.0, Source http://kremlin.ru/news/20604 Author:Kremlin.ru)

2月26日、プーチンはウクライナ国境付近で緊急軍事演習を実施、28日にはロシア軍の武器を装備しながら国籍マークをつけず覆面で顔を隠したLittle Greenmenと呼ばれる特殊部隊がクリミヤの空軍基地と空港に侵入して占拠した。3月1日、ウクライナへのロシア軍配備について議会の承認を取り、3日には増援軍をクリミヤに派遣、在クリミヤのウクライナ軍に投降を求める最後通告を発した。5日までにウクライナ軍は降伏し、大部分の兵士がロシアの契約軍人になることに同意した。電光石火の早業である。

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7日、クリミヤ議会は、ウクライナからの分離とロシアへの編入を求める決議を採択、編入の是非を問う住民投票を16日に実施することを決める。

G7をはじめとする国際社会は猛烈に反発、公正が保証されないと住民投票の中止を訴え、結果も受け入れないと表明したが、ロシアは結果を尊重するとした。

16日に行われた住民投票は編入支持が96.6%と発表され、翌17日にはクリミヤ議会がウクライナからの独立、ロシアへの編入を認めた。ロシアも「投票は民主主議的手続きのもとに行われ、国際法にも完全準拠している」とクリミア共和国を自国領に併合した。

G7は24日、オランダのハーグで緊急首脳会議を開き、ロシアにクリミヤ編入の撤回を迫り、応じなければ制裁強化、G8からの除外などを盛り込んだ首脳宣言を発表した。

ロシアを除外したことでG7サミットは6月4、5日にEUやNATO本部のあるブリュッセルで開き、ウクライナへの支援策などを決めたが、ロシアは全く関心を示さなかった。示さないどころか、クリミア併合に味をしめ、ロシアに隣接するウクライナのドネツク、ルガンスク両共和国でも親露派住民を焚き付けて「人民共和国」を作らせ、22年の全面侵攻に向けた準備にも着手したのである。(敬称略、つづく)

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条約署名式

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