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画家・TAKE「“終わった”人生に、色が戻った瞬間」

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2025年5月30日掲載|8

“終わった”人生に、色が戻った瞬間
飛び出すアートで世界へ
画家・TAKE

34歳の時、脳卒中で倒れた河村武明さん。構音障害、聴覚障害、失語症、右手麻痺という重い後遺症を負ったが再起を果たし、現在は画家「TAKE」として活動する。先日、念願だったNY展を天理ギャラリーで開催、多くのファンが訪れた。

画家「TAKE」
天理ギャラリーで行われた個展で作品前に立つTAKE さん

「脳卒中で倒れた時、『なぜ自分なのか、俺の人生は終わった』と絶望しました。それまでやってきた音楽ができなくなったのが辛かった、もう死んだほうがマシだって思いましたね。何も手につかない状況でしたが、毎日のようにバンド仲間や友人らが見舞いに来て励ましてくれたんです。次第に、そんな彼らの思いに応えなければならないと思い始めるようになりました。音楽をやっていた時から『自分の気持ちを人に伝えたい』と思っていましたので、動く左手で字を書く練習をしていました。そんな折、以前に観た北野武監督の映画『HANA-BI』で、半身不随の警察官が静かに絵を描くワンシーンを思い出したんです。実際、試してみると、意外なほど真っ直ぐで素直な線が描けました」

失意から、モノクロにしか見えなかった世界に、鮮やかな色彩が戻った瞬間だった。

「最初に線が描けたとき、天から『描け』と言われたようで、『よし描くぞ』と(笑)。その時、『絵画』一本で生きて行く決心をしました」

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独学で絵の勉強を始めた頃、見舞いに訪れた友人から、北海道の景色を集めた写真集を手渡されたことがあった。

「その中で、一面に広がるひまわり畑の写真に目を奪われました。太陽の光が射し込んだ風景に、『日本にこんな美しいところがあったのか!』と思い、そして『行ってみたい!』と。それでひまわりを描いたのが最初の作品です」

TAKEが画家として歩み出した最初の一歩、ひまわりの絵には「ありがとう」の文字が添えられていた。

「入院した当初は外出もせず、ずっと院内にいたのですが、路上で絵を描くようになり販売したことで、多くの人と繋がり、すべてが良い方向へと動いていきました。先が見えない中でも、置かれた状況を受け入れることが重要なのです。倒れる前までは音楽で生きていくつもりでしたが、病気になり絵を描くことになった。後遺症が残っても、左手は自由に動く、両足は問題ない、車の運転もできる、いきたいところに行ける、個展の準備も自らできます。絵を描くための条件はすべて揃っていたのです」。さらに、励ましてくれた人々への感謝の意を表すことで、状況が好転していく。

そんなTAKEの活動を聞きつけた佐賀県にある江口病院の院長から、「TAKEさんの作品を院内に飾りたい。病院をギャラリーにしたい」というオファーが舞い込んだ。それが画家・TAKEとして初の展示会に繋がった。

TAKEの作品
②空を飛ぶウミガメは、TAKEの生き様そのものだという

躍動的で斬新!飛び出すアート

「題材は多様ですが、作品には必ずメッセージを添えています。日本だけでなく、海外の方々にも『TAKEの作品』と分かって頂けるようにと試行錯誤を続けていたある日、キャンバスのスペースが足りず木材を継ぎ足したことで、はみ出した画風『飛び出すアート』にたどり着きました。溢れ出すパワーや、エネルギーを感じて頂ければと思います」

今回、本展のために「荒波」をモチーフに描いた作品=写真①=は、日本を代表する画家・葛飾北斎へのオマージュだ。世界的に有名な「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」にインスパイアを受けたもので、波の向こうに見える富士山の位置に、自由の女神やマンハッタンの摩天楼が描かれている。キャンバスから飛び出した荒波には力強い「エネルギー」と、TAKEの「描きたい」という心の叫びが感じられる。さらに、鳥のように空を舞うウミガメが斬新だ。

「実はウミガメ=写真②=は、江口院長が好きだったことから描くようになりました。ウミガメが空を飛ぶことは実際にはありません。ですが、自分の人生を重ね合わせ、枠にとらわれずどんどん自らの可能性を追求していこうという思いを絵に反映させたひとつの結果であり、私の生き様そのものなのです」

振り返ってみると、「音楽」ではなく「絵画」が本来の道だったのかもしれないというTAKE。「紆余曲折ありましたが、それらは神様から与えられた試練だったのではと感じています」

今回、5年ぶりの滞在となったニューヨーク。「やはりニューヨークは世界の中心だと感じます。日常の中で行き交う人たち、何気ない毎日ですが、歩いているだけでエネルギーを感じ、ワクワクする場所です」

帰国後には、東京日本橋の髙島屋や、京都の髙島屋での個展を行う。また講演活動なども積極的だ。「人生に本当に不可能なことなど、ほとんどありません。今、こうして絵を描いていられることに感謝したい。『世界のTAKE』として認識される存在になりたいです」

絶望の中、TA KEが見つけた一本の線。痛みを越えて色をまとい、今を生きる力としてキャンバス=常識の枠を超える。

TAKE=河村武明
instagram.com/take.take.take
facebook.com/takeaki.kawamura.3

画家「TAKE」

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