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Sohei Narita (サックス奏者、作曲家)

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2025年1月31日号掲載

Sohei Narita
「自身の感性や感受性も育てたい」
サックス奏者、作曲家
・出身:東京都

Sohei Narita
Sohei Narita

サクソフォーンとの出会い

音楽好きの両親の影響で音楽に囲まれて育ちました。父は週末になるとエリック・クラプトンやビートルズのCDをかけ、母は趣味でピアノをよく弾いていました。クラシックや洋楽、ラジオやテレビから流れてくるJ-Popも含めて、常に音楽がそこにあったように思います。初めて音楽に触れたのは3歳の頃、姉がピアノを習っていたことから、僕もピアノのレッスンを始め、そのまま高校生まで続けました。初めてサクソフォーンを知ったのは小学5年生で、母に連れられて行ったクラシックコンサートでした。指揮者の横に立ち、首から金色の楽器をぶらさげて演奏する、初めて見る演奏スタイルに「かっこいい!」と胸を熱くしたことを覚えています。音や演奏よりも「その出立ち」と「こんな楽器があるんだ!演奏してみたい!」と強く思ったように思います。その当時は「お年玉を貯めて買うんだ!」としきりに言っていました。中学へ入学して吹奏楽部へ入部、初めてサクソフォーンを演奏し始め、中・高で6年間続けました。当時は本当にサクソフォーン吹くために登校していた、と言ってもいいほど部活の時間が楽しみでした。高校2年生になったばかりの頃、「吹奏楽の一員としては長く演奏してきたけれど、1人で披露できる曲は一曲もないんだなぁ」と、ふと気が付いたのです。それが少し悲しく、悔しくて、 もう少し専門的に学んでみたいと、昭和音楽大学へ進学、クラシック音楽を専攻しました。

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ニューヨークを活動の拠点に

音楽大学を卒業後はクラシック奏者として活動していましたが、より深くサクソフォーンの演奏技術を学びたいという思いから、ジャズと即興演奏を学ぼうと決めました。ジャズを学ぶだけならば日本でもできますが、日本にいてはクラシックで培ったスキルやプライドが邪魔してしまう気がしたことに加え、以前から日本国外の価値観や文化に触れてみたかったこともあり、それまでのコミュニティから離れて音楽留学に挑戦することに決めました。師事したい先生がニュー ヨークで教えていたというのも理由の一つ。留学先の大学・大学院を卒業後もニューヨークを活動拠点にしているのは、一緒に活動していきたい素晴らしい仲間がこの街にいるからです。演奏、作曲どちらの表現においても、今の自分の音楽はこの街で出会ったミュージシャンに影響された部分が多くあります。ちなみに、クラシックからジャズに転向したという認識はなくて、始めた頃から現在も「サクソフォーン奏者」であり、演奏できるスタイルが少しずつ増えている、 表現の幅が増えているだけ、と思っています。ジャズかクラシックかどちらかに決めなければいけないとはあまり思っていません。

Sohei Narita
Sohei Narita

音楽は「ストーリーテリング」

リスナーとしてもクリエイターとしてもプレイヤーとしても、音楽は「ストーリーテリング」だと思っています。演奏家や作曲家として音楽を発信する側の存在であると同時に、音楽を聴くことが大好きで、これまでにもたくさんの音楽と触れ合ってきました。幼い頃から、音楽を聴く時はいつもその音から色や情景を見ていましたし、楽譜を読むことは小説を読むのと同じで、そこに描かれたストーリーを辿っていたように思います。その自分だけの物語・世界のなかに沈んでいけることが自分にとって音楽との関係性だと思っています。今、自分自身で曲を書いたりその曲をステージで演奏する時、自分が音楽を聴く時と同じように、そのジャンルやスタイルに関わらず常に「ストーリーテリング」を意識しています。サクソフォーンで伝える音楽には歌詞がないことが多いので、心理描写や情景描写、色や形、登場人物の動きや表情をコードやリズム、フィール、メロディ、演奏時の音量や音圧、音色、様々な音楽的要素で、曲が持つ世界観を表現、そのストーリーを伝えていくことを大切にしています。これからも作り続け、演奏し続けていきたい。そのためには、常に学び続けていたい、努力を怠らない人間でありたいと思っています。知識や技術を磨き続けていくことだけでなく、自分の感性や感受性も同じだけ大切に育てていきたいと考えています。

今後の予定

2025年から長年一緒に演奏してきたミュージシャンと本格的に音楽制作を始められそうで、わくわくしています!これまでの活動とは異なる自分の新しい音楽を表現できるのではないかと感じています。さらに、現在活動中のジャズクインテットでも演奏の機会を増やしていきたい。クラシックで培った経験を活かし、今まで書いてきた曲を更に自分らしくアレンジするという新たな挑戦、レコーディングや音源制作にも力を入れ、コンテンポラリーダンサーとのコラボ、音響デザインを主とした音楽制作、演奏にも力を入れていきたい。楽しみな事がたくさんあります!

instagram.com/soheinarita

Sohei Narita

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