よみタイム|2024年11月29日号・Vol.483デジタル版 & バックナンバーはこちら

阪元裕吾監督 & 鈴木祐介プロデューサー「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」

「第23回 ニューヨーク・アジアン映画祭」
「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」
阪元裕吾監督 & 鈴木祐介プロデューサー

「たまたま」が重なり誕生したシリーズ

「第23回ニューヨーク・アジアン映画祭(NYAFF)」で、日本に先駆け上映された「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」(日本公開日:2024年9月27日)。髙石あかりと伊澤彩織が演じる殺し屋コンビの活躍を描いたガールズアクションシリーズの第3弾で、NYタイムス紙でも取り上げられ、世界的に注目されている。阪元裕吾監督と鈴木祐介プロデューサーが来米した。

阪元裕吾監督 & 鈴木祐介プロデューサー
阪元裕吾監督(左)と鈴木祐介プロデューサー(Photo by KC of Yomitime)
高校生の殺し屋2人が主人公というアイデアの源

阪元監督

コロナの時に脚本を書いたんですが、まあダラダラする時間がありまして(笑)。仕事よりゆっくりする時間が増え、それが普通になってきたように思っていましたので、ちょっと刺激というか、そんな思いで脚本を書きました。

鈴木プロデューサー

実を言いますと、この映画の元になるものがあったんです。「ある用務員」という映画で、そこに出てくる2人のキャラクターをブラッシュアップして登場させました。もちろん役名、役柄は違いますが、それが元になってます。

鈴木プロデューサーと監督の「たまたま」

鈴木プロデューサー

たまたま、阪元監督のPCの調子が悪く、うちのオフィスに来て、映画「ある用務員」の編集作業をしていたんです。その時、たまたま、私が阪元監督の後ろを通った。その時、たまたま、敵の主要キャスト2人のシーンだった。それで「このシーンを頭から見せて」と、お願いして見せてもらったのですが、面白くて気に入りました。それで「脚本書いて」ということになって始まったのが「ベイビーわるきゅーれ」シリーズなんです。

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打ち解ける様子のない主人公2人

阪元監督

自分は入鹿みなみ側なんですが、主人公2人をあまり肯定的に描いてしまうと、面白みがなくなってしまうと思いました。入鹿みなみが普通で、基本的に主人公2人は、彼らより上の世代からすると普通では無い訳で、それを代弁するようなキャラクターにしました。彼らへのツッコミ、否定的な意見をベースにしました。

アメリカのオーデイエンスの反応

鈴木プロデューサー

今作はシリーズ第3作目ですが、アメリカの方々にしてみれば、今まであまり観られなかったタイプの映画だと思っています。特にアニメを好む人たちから高評価を得ていると聞いています。主人公2人が、アニメっぽい(キャラクター優先で物語を作る)ところがありますので、「やはりそうか」と思うところもあります。

大勢いる「オタク」の方々からの反応が良かったと聞いていますが、我々の狙いを日本よりアメリカの皆さんの方が理解してくれている、と思っています。

阪元監督

確かにアニメっぽい作品なので、親和性があったのだろうと理解しています。もっとアニメっぽい映画を撮るべきだと思います。少年漫画とかキャラクター優先、という作り方。そんな部分が良かったのでしょう。

2024年秋、テレビ東京で放映予定の「ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!」の世界観

阪元監督

下町の殺し屋を描こうと思っています。アメリカに伝わるかどうか、といった心配はあります。もちろん、既存のファンを大切にしたいという思いはありますが、ドラマの場合は、初めて観る方も多いと思いますから、とにかく新しいファンの獲得を目指して作りました。またドラマとして流行るような仕掛けをたくさん盛り込みました。

阪元裕吾監督 & 鈴木祐介プロデューサー
阪元裕吾監督(左)と鈴木祐介プロデューサー(Photo by KC of Yomitime)
杉本ちさと役・髙石あかりと、深川まひろ役・伊澤彩織

鈴木プロデューサー

映画「ある用務員」にさかのぼりますが、髙石あかりさんは、あるプロデューサーから推薦され、別の作品に出てもらった際、「将来伸びるだろう」と確信したので、起用に至りました。

伊澤彩織さんは、アクションが抜群だったんです。ですが、彼女はもともとスタントをやっていて、役者ではなかったのですが、オファーを出したところ、「やってみたい」と即答。初めは、ぎこちないところもありましたが、いまはしっかりと女優さんになっていると思います。とにかく2人とも「何か持っている」、そんな空気を纏ってました。

阪元監督

2人に関して、特に演技指導はしませんでしたが、コメディなので「間」など、どうやったら笑えるかは考えていました。入鹿みなみ役の前田敦子さんは、キャリアもある方ですから、リクエストはなかったのですが、この3人の絡みで、どうやって笑いを取るかを意識してました。

私は大阪出身で吉本を見て育ちましたから、「笑いの根源」はそこに有ると思っています、特に意識はしていませんが。

ニューヨークの印象

阪元監督

雰囲気が大阪みたいやな、という印象がありますね。

鈴木プロデューサー

やっぱり都会ですよね。いろんな人種がいますので、いい意味でも悪い意味でも一つに纏っていないところがいいように感じます。それぞれが個性を尊重しているのがいいですね。

今後の予定

阪元監督

とりあえず「ベイビーわるきゅーれ」シリーズは終わりにしようと思っています。目標は、怪獣映画を撮ることです!

阪元裕吾監督 & 鈴木祐介プロデューサー

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