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三科怜咲(役者・女優)「枠に囚われずに演じたい」

三科怜咲「枠に囚われずに演じたい」
RESA MISHINA(役者・女優)
・出身:神奈川県横浜市

三科 怜咲
三科 怜咲

舞台に立つ魅力に目覚めたのは5歳

アマチュアのサーカスショーに出たのがきっかけでした。出る直前まで半ベソをかくほど怖かったのに、演技を終えて舞台から降りるやいなや「またやりたい!」と母に言ったことを覚えています。たぶん、大勢の観客の前で演技をする時に感じるアドレナリンが好き、何より自分の演技で観客を笑顔にすることが大好きなのだと思います。

器械体操も同じ頃に始めたのですが、一番好きな種目は「床」でした。タンブリングが得意だったからというだけでなく、床が全種目の中で最もパフォーマンス的な要素が強い種目だったからだと思います。技の難易度や構成は当然審査されますが、同時に、自分が踊ることで、観客に楽しんでもらえるのが好きでした。体操競技は英語で「Artistic Gymnastics」と言われるように、床での演技を通じて自らの芸術性を表現することができていたと思います。

「Into the Woods」を観て衝撃を受ける

小学生の頃、ソンドハイムのブロードウェイ公演「Into the Woods」のDVDを観て衝撃を受けました。ストーリー、音楽、歌詞、演技のどれをとっても素晴らしく、「いつか自分もあんな舞台に立ちたい!」と強く願ったことを覚えています。最も影響を受けた女優さんは、ブロードウェイで2006年に再演された「コーラスライン」でコニー役を演じた高良結香さん。同じ日本人ダンサーが、本場で活躍するのを観て感激しました。来米後、高良さんとも知り合いになりましたが、彼女はずっと私にとってのインスピレーションでありメンターです。

実は「女優になる決心をした」という瞬間はありません。いつも「演じること」が大好きで、幼い頃から、「自分はいつかプロの女優になるんだ」と考えていたのですが、その思いをずっと大切にしながら、実現への道を歩んできたように思います。

「女優」とは、その醍醐味とは

舞台芸術は社会にとって、とても重要ではないかと感じています。すべての芸術は、人々の共感を育み、視点を変え、世界をより優しいものにしてくれます。演技とは、人間の行動を研究すること。人間は非常に複雑で、同じ人は2人といません。演じる役柄を深く掘り下げ、そのキャラクターの多面性を見つけることができた瞬間が、役者の醍醐味なのかもしれません。加えて、生の舞台には不思議な魅力があります。映画やテレビと違って、リアルタイムで観客と同じ空間を共有することから、観客の反応を直に聞いて、見て、感じることができます。映画やテレビなどで演じることも好きですが、役者として最も充実した感覚を味わえるのは生の舞台だと思います。

三科 怜咲

アメリカ制作・時代劇ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」へ参加

英語が話せる日本人俳優を探しているとSNSで知り、あまり期待せずにメールを送ったのがきっかけでした。オーディション用テープ提出から、レコーディングスタジオでディレクターとのセッションを経て、ヒロイン・戸田鞠子役の英語吹き替えに抜擢されました。日本を舞台にした作品に参加することや、日本人の役を演じることは、私にとっていつも特別な出来事。今回の「SHOGUN」のリメイクは大規模プロジェクトで、莫大な製作費がかけられていると聞いていましたので、吹き替えであっても上手に演じなければならないというプレッシャーはありました。そもそも吹き替えは初めての経験だったので不安もありましたが、私を信じてくださったディレクター達から様々な専門知識のアドバイスを頂き、良い仕事ができたと思います。「SHOGUN」が世界中で高い評価を受け、エミー賞を席捲したことには本当に感動しました。これからも欧米の主要メディアで、本物の日本の物語が語られ、日本の俳優が活躍できる機会が増えることを願っています。

今後の目標と願い

来米当初は「ミュージカルで踊れたら幸せだな」と思っていましたが、ストレートプレイで演じたり、声優の仕事をすることなど、想像もしていませんでした。多くの機会に恵まれ、積極的に挑戦し、結果的に女優としての領域を広げることができ、本当に良かったと思います。もちろんブロードウェイの作品に出演したいという目標は持ち続けていますが、枠に囚われずに演じていきたい。今年はMacy’s Thanksgiving Parade でダンサーを務めました。人生は予想外の驚きに満ちています。これからもたくさんの驚きがあることを願っています。

www.resa-mishina.com

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