恵まれない子どもたちに芸術体験を
ノグチ美術館「村瀬裕子メモリアル・ファンド」
ニューヨークのイサム・ノグチ財団・庭園美術館(以下ノグチ美術館)は2024年12月下旬、教育プログラムの支援を目的に同年2月に設立した「村瀬裕子メモリアル・ファンド」による活動を報告。これまでにおよそ13万ドルが寄せられたことを発表し、多くの支援者へ謝意を伝えた。
![ノグチ美術館](https://yomitime.com/wp-content/uploads/2025/01/noguchi-800x529.jpg)
同基金は、ノグチ美術館で長年、理事として活動した故・村瀬裕子氏を讃え、友人、知人、同僚らの好意により設立されたもの。同館では、日米交流や子どもたちへのサポートに尽力した故人の遺志を受け継ぎ、今後10年間に渡って教育プログラムを実施する予定だ。
初年度となった2024年は、大きく3つのプログラムを実行。
ひとつは「学校向けプログラム」で、生徒たちの年齢、関心、ニーズに応じた探究型のツアーと創作体験ワークショップを提供。計53の学校グループ、総計1273人の生徒および240人の付き添い人を招待した。
二つ目は「学校向けパートナーシップ」。前述の支援からもう一歩踏み込んだ経験を生徒たちに提供しようと、P・S・85の1年生、およびP・S・17の3年生を招待。両校ともにクイーンズ区に位置するTitle I(低所得家庭出身生徒の割合が高い)の学校で、視覚芸術の教育資格を持つ教師が在校していないことから選出。8週間のパートナーシップを通し、合計160人の生徒たちが芸術を学んだ。
三つ目は「入館無料」の継続だ。これまで同様、条件を満たせば無料で入館でき、入場料が払えず美術館の来訪をあきらめることがないように設けられた低所得家庭向けプログラム。2024年は同プログラムを通して825人が来館した。
さらに昨年11月、同館の教育担当者が、ラガーディア・コミュニティ・カレッジの移民教育訓練センター主催によるファミリー・ナイト・イベントを実施。クイーンズ区の低所得の移民とその家族を対象に、英語教室や職業訓練、キャリアカウンセリングなどを提供するもので、当日は150人が来館。ノグチの光の彫刻「Akari」から着想を得た無料の制作ワークショップを行った。
ノグチ美術館ならびに故・裕子氏の夫・村瀬悟弁護士は、次の様にコメントを残している。
「村瀬裕子メモリアル・ファンドへのご寄付により、多くの重要な助成を行うことができました。さまざまな社会的・経済的背景を持つ人々が参加できるプログラムを無料またはわずかな手数料で企画・提供できましたのは、ひとえに皆様からのご支援の賜物です。この場を借りて心から感謝申し上げます。これからも子どもたちや恵まれない学生をサポートできるよう努力を続けて参ります」
ノグチ美術館・村瀬裕子記念基金
■https://www.noguchi.org/museum/support