2022年2月11日号 Vol.415

文:佐々木香奈
NCGIA (National Cat Groomers Institute of America) member

Willow, #COTUS:ファーストキャットの歴史

バイデン大統領夫妻が約束通り、猫をホワイトハウスに迎えた(やっと!)。ウィロー(Willow)という名前の、2歳になる短毛シルバータビーのメス猫で、目はグリーン。2020年選挙運動中に訪れたペンシルベニア州の農場(牧場かも)で、ジル夫人の応援演説中に突然ステージに上がってきて、邪魔をしたのがその農場で飼われていたこの猫。ジル夫人と一瞬にして仲良くなったのを見て、農場主がその場でこの猫をジル夫人にプレゼントしたそうだ。命名は、ジル夫人のホームタウンWillow Grove, PAから。



どうやら当時からこの猫はバイデン一家の一員だったようだ。ただ、就任直後はジャーマンシェパードの老犬もいたし、新しく若いワンパク・ジャーマンシェパードもアダプトしたしで、ウィローのホワイトハウスへの引越しはタイミングを見ていたというのが公式発表。いずれにしても、ホワイトハウスに猫がやってきたのはめでたい。ちなみに「#COTUS」はCat of the USの略。ホワイトハウス報道官のオリジナルで、ツイートでタグるのに使っている。大統領は「POTUS(President of the US)」、ファーストレディーは「FLOTUS」なので、その猫版。

ジル夫人がツイート(@FLOTUS)した愛猫ウィロー

さて、あまり知られないが、歴代ホワイトハウスに住んだ猫は実に多い。最後にホワイトハウスに住んだ猫は、ジョージ・W・ブッシュ大統領の飼い猫India。就任時に一緒に入居した一家の愛猫で、真っ黒い猫だったようだ。実はあのWが愛猫家だったなんて全然知らなかった。Indiaは2009年1月、Wの任期終了直前にホワイトハウスで死去している。そして近年で最も記憶に新しく、印象に残っているファーストキャットといえば、ビル・クリントン大統領一家の愛猫で、黒い体に白いソックスを履いたSocksだろう。

そのほか歴史を遡ると、ジミー・カーター大統領の娘さんのシャムネコMisty Malarky Ying Yang(長い!)、ジェラルド・フォード大統領の娘さんの愛猫Shan Shein。カルビン・クーリッジ大統領はなんと5匹も(Tiger、Blacky、Bounder、Timmie、Smoky)。Tigerがホワイトハウスの外で迷子になったことがあり、当時(1920年代)の最新テクノロジーだったラジオ放送で国民に呼びかけ、見つけたというエピソードが残っている。

ホワイトハウスで最初に猫を飼ったのは、エイブラハム・リンカーン大統領。Tabby とDixie。愛猫家で知られるリンカーンは、南北戦争時に戦場を訪れた際、親を亡くした子猫をレスキューしたと言われる。セオドア・ルーズベルト大統領、ラザフォード・ヘイズ大統領も愛猫家だったことはよく知られる。

アメリカに最初にシャムネコを持ち込んだのは、ラザフォード・ヘイズ大統領(任期1877〜1881年)。バンコックに赴任していた米国外交官からヘイズ夫人へのプレゼントで、Siamと命名。リンカーン大統領(1861-1865年)は、愛猫Dixieを「うちのどの閣僚より頭がいい」と猫可愛がりしていた。




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