2022年1月14日号 Vol.413

文:佐々木香奈(猫グルーマー)
NCGIA (National Cat Groomers Institute of America) member

猫とハチミツ神話(?!)

このコラムで時々取り上げる、獣医師のマーティー・ゴールドスティーン先生(https://drmarty.com)からの受け売り情報を一席。この先生、いわゆる西洋医学のベテラン獣医師だが、ホリスティックアプローチ(漢方他の代替医療)を取り入れることで有名な先生だ。ニューヨーク州サウスセーレムにあるSmith Ridge Veterinary Centerの院長先生。適切な食事で自分の猫が20歳を超えても元気だったことから、「猫の寿命は15、16年といわれるが、本当はもっと長く生きられる」とし、近年はもっぱら猫用のプロビオティックやローフードなどの開発に尽力している。

うちの愛猫ルフィーは、この先生ブランドのローフード(フリーズドライ)は残念ながら食べないが、プロビオティックは愛用しているので、定期的に先生から猫情報メールが届くのだが、つい最近の話題が「猫とハチミツ神話」だった。筆者は全く知らなかったが、巷には猫にハチミツをやるといいという、根拠希薄な家庭医学情報が氾濫しているらしい。ゴールドスティーン先生がその神話の真偽を検証している。



●神話その1「地元産の生のハチミツは猫の季節アレルギーに効果がある」

「生のハチミツ」とは殺菌処理されていないハチミツのこと。ホメオパシー的なコンセプトとして間違ってはいないが、抗アレルギー効果を期待するには相当量のハチミツが必要で、糖分過多になること必至。アレルギーが治る前に糖尿病になっては本末転倒だ。猫のアレルギーに悩む飼い主が、どうしても試したいなら、「地元産のbee pollen(粉末)」をごく微量(凝縮されているのでほんとに微量)、フードに混ぜる方がいいそうだ。ただ、これを試す場合は必ずかかりつけの獣医さんに相談しなさいという注意書き付き。勝手にやらないように。

「猫とハチミツ神話」は、「?」どころか「×」だそうです!(モデル:たま)

●神話その2「猫の皮膚にできた引っ掻き傷の治癒にハチミツが効く」

ハチミツは確かに抗菌作用もあるので、これもコンセプトとしては間違っていないが、ハチミツを猫の皮膚につけようものならベタついて、完全に逆効果になるので、「実行してはいけません」とのこと。

●神話その3「ハチミツは猫のエネルギー源」

これは間違い。糖分を一気にたくさん取ると、一瞬だけエネルギーが満ちた感じになるだけ。人間もそうだが、猫も同じ。しかもハチミツの糖分は猫の消化器官に良くないので、胃痛を起こして嘔吐なんてことになりかねない。

以上まとめ:「猫にハチミツ説は間違いです」と言ってよさそうだ。皆さん、愛猫にハチミツはやらないようにしましょう。

猫の肉球は、英語でpaw pad。toe beans/toebeansとも言い、1月6日は「National (Toe)Bean Day」だそう!柔らかくも強い肉球は着地の際のクッションに。猫の皮膚で唯一、汗腺がある場所でもある。人間の足の裏よりも、ずっと体液の循環がいいので、かなり冷たい床や土にも耐えられる。(猫ラボBasepawsの情報)



Kana S. Cat Grooming
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