2021年8月20日号 Vol.404

文:佐々木香奈(猫グルーマー)
NCGIA (National Cat Groomers Institute of America) member

虹の橋を渡った男前のてんちゃん
ペットの火葬に立ち会う

筆者のグルーミングのクライアント夫婦が昨年、日本から猫をアダプトした。6歳のアメリカンショートヘア(オス)で、名前は「てんちゃん」。残念なことに、拡張型心筋症であることが間もなく発覚し、闘病が始まった。数ヵ月の命と言われたのが昨年2月だったが、飼い主の献身的な介護の甲斐あり、獣医さんもびっくりの1年半という年月を、薬を飲みながら、時々救急病院に駆け込みながら、生き抜いた。

そのてんちゃんが7月末、自宅で息を引き取った。死ぬ直前にチュールを1本完食し、眠るように亡くなったそうだ。この夫婦、最後はきちんとお別れをしたいと、ハーツデール・ペット墓地に連絡を取り、火葬(cremation)に立ち会う予約を入れ、8月初旬この夫婦はてんちゃんを連れてハーツデールに行ってきた。



筆者も、ここで3匹の愛猫の火葬に立ち会っている。綺麗に整備された静かな墓地と、こじんまりしたオフィスに優しいスタッフの対応。行くたびにホッとするというと変だろうか。「最後のお別れの部屋」というのがあり、そこで真っ白いサテンの布に愛猫を包んでくれる(この布はお別れ用。火葬する際にペットを包む布は持参すると良い)。これでもかというくらい長いお別れをしても、急かされることはなかった。大好きだったおもちゃなども一緒に焼いてもらい、遺灰と一緒に、火葬証明書と、「Rainbow Bridge」という作者不明のペットとのお別れを詠った詩を印刷したお悔やみの手紙をもらう。これを読んでひとしきり泣くことになるが、同時に感動もする。
 
ペットの飼い主として避けて通れないのが、ペットの死。元気な時に、「そうなったらどうするか」について考え、情報収集しておくと、いざというときに慌てない。

拡張型心筋症と診断された後、1年半を頑張って生き抜いた「てんちゃん」。円内はハーツデール墓地

自宅でペットが亡くなった場合、かかりつけの獣医さんに連絡して死亡したことを報告する。その時に多分、「火葬(cremation)はどうするか」と聞かれるので、その際の選択肢は、自分で手配するか、獣医さんに代行してもらうか。代行の場合は、団体火葬(group cremation)か個別火葬(individual cremation)か、遺灰をもらう(ash back)か、もらわないかの希望を伝えると、全て手配してくれる。

筆者は、ハーツデールで火葬に立ち会った3匹のうち2匹は自分で遺体を連れて行った。3匹目の時は、亡くなったのが引っ越し数日前というタイミングだったため、遺体を獣医さんに数日預け、ハーツデール墓地から獣医さんのところにピックアップしてもらうよう手配し、火葬当日は身一つで出かけた。

ペットの火葬業者は、ハーツデール墓地だけではない。獣医さんのクリニックで相談すると、提携業者を紹介してくれるはず。この件について質問がある人は、遠慮なく筆者までメールで連絡を。

Hartsdale Pet Cemeteryは、1896年創設・全米史跡指定(National Register of historic places)を受けているペット専用墓地。最愛のペットとの最後のお別れにふさわしい、静かで美しい所。筆者はここの回し者でも何でもないが、個人的にオススメです。https://petcem.com

Kana S. Cat Grooming
kanacatgrooming@gmail.com
Voice/Text: 646-456-6399




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