2021年6月25日号 Vol.400

文:佐々木香奈(猫グルーマー)
NCGIA (National Cat Groomers Institute of America) member

キャットリッター考(その1)

先だって猫のDNA検査をしてくれるカリフォルニアの猫ラボ「Basepaws」のことを紹介したが、そこが色々な猫データを取るために、顧客にいろんな質問をして集計を取っている。質問の一つに「おたくの猫ちゃんは1日に何回オシッコしますか?」というのがあった。アンケートに答えた猫の飼い主は全米3341人。私もそのうちの一人だ。

結果は、「1日2〜4回」が54%、「最低1日1回」が28%、「わからない」が18%ということだった。ちなみにうちの愛猫ルフィーは「1日2〜4回」オシッコをする。



Basepawsの獣医さんと研究者によると、健康な猫は1日2〜4回オシッコをするのが普通なのだそうだ。もちろん気候や環境、食事(ドライフードかウエットフード)など様々なファクターが関係してくるので個体差はある。しかし、猫がいつも以上に頻繁にオシッコをするようになったり、オシッコの量が増えたりするのは、腎不全や糖尿病などの可能性があるので、すぐに獣医さんに診察してもらいましょうということだった。

ただ、このアンケート結果の意図するところは実はそこではなくて、「飼い主として、自分の猫のおしっこの頻度とパターン(例えば、ご飯を食べた後に必ず行くとか、ボックスのどこか一箇所に決まってするとか)くらいは知っておきましょう。それには、リッターボックスを頻繁に(最低1日1回、できれば数回)掃除することです」というもの。オシッコとウンチは、猫の健康管理をする上で必要最低限の情報なので、やっぱり飼い主としては把握しておきたい。

拙宅の寝室の片隅に作ったルフィーのメインの「おトイレ」スペース。廊下にもう1つサブが置いてある

「わからない」と答えた18%の飼い主にとっては耳の痛い話となった。仕事で1日いないとか色々事情はあると思うが、クランピングタイプのリッターを使っている場合、1日1回でも定期的に掃除していれば、固まった部分の数や大きさで大体把握できるはず。最近の電動リッターボックスには、猫の排泄回数をモニターしてくれるものもあるらしい。

最悪なのが、「ウンチは取るけど、おしっこはそのまま放置し、1週間に1回リッターごと全部換える」という飼い主。猫は大変清潔好きなので、これでは多分猫は仕方なしにそのボックスを使っているし、衛生上極めてよろしくない。爪などにバクテリアがついて、それで耳をかいて耳が感染症で膿んだなど、意外によく聞く話だ。

それから、リッターボックスの数は、猫の数+1が基本。実は私も知らなかったうちは、平気で2匹に1つのボックスを共同で使わせていたものだが、今は心を入れ替えた。うちはルフィー1匹なので、ボックスは2個。猫にとって、どのボックスを使うかの選択肢があることが重要なのだそうだ。それも、猫ウィスパラーとして著名なジャクソン・ギャラクシー曰く、「一箇所に並べて置くのではなくて、あっちとこっちに離して置きましょう」。一ヵ所に固めたのでは意味がないとのことだ。1ヵ月に1回はボックスを洗うことも忘れずに。

次回はリッターの種類などについても考えてみたい。

キャットリッターを発明したのは、Ed Loweという御仁。1947年のこと。それまで人々は、灰や砂、土を箱に入れるか、もしくは外に出して用を足させていた。(このネタ、実は随分前にこのコラムで書いたが、おさらいってことで)

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