2021年5月14日号 Vol.397

文:佐々木香奈(猫グルーマー)
NCGIA (National Cat Groomers Institute of America) member

抜け毛の季節「換毛期」

昨年以来グルーミングビジネスは中断しているので、このコラムではいろんな猫ネタを取り上げてきたが、今回は久々にグルーミングネタを一席。

春は、猫の抜け毛の量が増す換毛期だ。5月の今はちょうどピーク。ピッツバーグの師匠が経営する猫グルーミングサロンは、毎年夏時間に変わる3月の週末以降、長毛種の猫の毛刈り予約が殺到する。

ただ、意外に思うかもしれないが、換毛期だろうとなかろうと、長毛種よりも短毛種の方が、より毛が抜ける。長毛種のペルシャ猫など、細い毛がからんでダマにはなるが、抜け毛は気にならない。逆に、短毛種のシャム猫や、一般的な雑種短毛猫が座っていたソファーの後には、どっさり抜け毛が残っていたりする。個体差はあるし、教科書知識だが、個人的な経験から言ってもこれは事実だ。



愛猫の背中を撫でると手にどっさり抜け毛がくっ付いてきて、猫の背中にも抜け毛が浮いてくるようなら、単に猫自身の毛繕いと、飼い主のブラッシング努力では追いつかない。春の換毛期は特にだ。こういう猫は、短毛種であろうと定期的にシャンプー/ドライをすることを勧める。半年おきにやることで、かなり猫の皮膚と毛の状態が改善するはずだ。ちなみに、シャンプーしたら必ずドライヤーで乾かすこと。濡れた毛を放置するとダマになりやすく、皮膚の健康のためにも水気を一気に取ってやる方がいい。そしてシャンプー後数日は毛穴が開いているので、毛が余計に抜ける気がするかもしれないが、その後落ち着くのでご安心を。

ボレロカットをしたルフィー。初心者グルーマーの飼い主による、下手くそな毛刈りで申し訳ないが…でも毛玉は吐かなくなった。最初は戸惑っていたルフィーだが、慣れると快適な様子

さて、うちの愛猫ルフィーは、今年も3月半ばから換毛期に突入した。目立った抜け毛はないが、「毛玉ゲロ」が始まるのでそれと分かる。私好みの中途半端な毛の長さのブラウンタビーのルフィー。美しい毛を刈るのは忍びなく、これまで定期的なシャンプー/ドライ、日々のブラッシング(嫌がるけど)、ヘアボールリムーバーや猫草で対応してきたが、今年はついに刈ることにした。写真をご覧あれ。ライオンカットではなく、これはボレロカットというスタイル。両前脚の毛は残し、胸部から尻尾までの胴体の毛を刈る。長毛種なら4〜6ヵ月で元の長さになるので、夏が終わる頃にはまたふさふさになっているだろう。シッポの毛を刈っていない理由は、胴体の毛より伸びるのにずっと時間がかかるから。ヘタをすると2年くらいかかることがある。

猫の皮膚は犬の皮膚よりずっと薄くてデリケート。高齢になるとさらに皮膚が薄くなるので、教科書的には10歳を目安に毛刈りはなるべく避ける。ただ実際には個体差もあり、ケースバイケースだ。ルフィーは11歳だが、皮膚と毛のコンディションはいいので、毛玉予防という大目的のため敢行。ありがたいことに全く毛玉を吐かなかくなった。

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