2021年2月12日号 Vol.391

文:佐々木香奈(猫グルーマー)
NCGIA (National Cat Groomers Institute of America) member

要注意!オンラインのペット販売

改めて言うまでもないかと思うが、オンラインのペット販売サイトは要注意だ。サイトのどこにも、実際の住所や電話番号、運営者の名前や履歴が書かれていない場合、詐欺サイトと思った方がいい。

これはパンデミック中の実例だが、ペットを飼ういい機会だと思い、オンラインの子猫販売サイトで純潔種の子猫を購入したAさん。支払いを済ませたものの、肝心の子猫が送られて来なかったという。そもそも、購入希望者にオンラインで写真を見せるだけで、実際に子猫に会わせずに前払いさせ、猫をただの商品の如くに「発送する」ビジネスモデルは、はなから疑ってかかるべきだった。

ただ、この人の場合、完全なる詐欺サイトでかえってラッキーだったかもしれない。これが仮に子猫を大量に産ませて売り捌く悪徳業者だったら、送られてきた子猫はもともと病気を持っている可能性が高い。20年も前になるが、どうしてもアビシニアンが欲しいというカリフォルニアの友人夫婦がペットショップで2匹購入し、2ヵ月後に2匹ともあっさり病気で死んでしまった。その理由は、ペットショップの犬猫の仕入れ先が、劣悪な環境で子犬を大量に産ませるpuppy mills/kitten millsだからだ。全米各州で未だに合法だというから驚き。ニューヨーク州では昨年夏、州議会で「Puppy Mill Pipeline Bill」が通過し、ペットショップでの犬猫・ウサギの販売が禁止された。ペットショップというパイプラインを失ったパピーミルが、オンライン販売にシフトしても不思議はない。なぜpuppy mills/kitten mills自体を違法にしないのか。



ちなみに、パピーミルがアーミッシュ村の重要財源だということをご存じだろうか。彼らのウェブサイトには住所も電話番号も載っており、子犬を見に行くことも可能。筆者のフィラデルフィア近郊在住の友人一家が、この1月、危うく格安の子犬を購入するところだった。言っておくが、良好な環境で良心的なブリーダーが育てる場合、子犬や子猫の値段は数千ドルが相場だ。珍しい種類になるともう一つ桁が増える。

個人的にはペットの売買には反対だ。なるべくシェルターの犬猫をアダプトしてほしい。が、どうしてもこの犬種・猫種が欲しいという気持ちも分からないではない。その場合はオンラインに頼らず、きちんと現場リサーチをしてほしい。ベストは、付近の獣医さんのオフィスを訪ね、良心的なブリーダーを紹介してもらうことだ。

Animal Care Centers of NYCのウェブサイト

★なるべくペットはアダプトしよう
ニューヨーク市内・近郊の主なアニマル・シェルター&アダプション団体
Humane Society of NY
ASPCA
Animal Care Centers of NYC
North Shore Animal League America

★純血種について学びたいなら
全米・世界各地でCat Showを主催する団体Cat Fanciers' Association。ブリーダー検索ページもあるが、紹介するブリーダーの質を保証するものではない。リサーチには、自分でブリーダーを訪ねよう。

純血種ばかりを量産するパピーミル(puppy mills)はよく聞くが、その猫版kitten millsも存在することを知ってほしい。kitten millsは個人が自宅や裏庭、ガレージなどで営んでいることがほとんど。血統書なしで安価な場合、悪徳業者とみていい。

Kana S. Cat Grooming
kanacatgrooming@gmail.com
Voice/Text: 646-456-6399





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