2020年11月13日号 Vol.386

文:佐々木香奈(猫グルーマー)
NCGIA (National Cat Groomers Institute of America) member

意外な猫ハーブ、バレリアンルート

猫がハッピーになるプチ麻薬的なハーブといえば、アメリカだとキャットニップが主流。でも、「うちの猫、キャットニップに反応しないのよねえ」って人も多いはずだ。実際、50%の猫しか反応しないそうだ。そこで、ここではキャットニップ以外の猫ハーブについて、ニューヨーク州サウスセーレムのセレブ獣医さん、マーティー・バーンスティーン先生からの受け売り情報をシェアしよう。

猫を「ハイ」にするキャットニップの成分は「ネペタラクトン (nepetalactone)」。猫はこれに反応して、脳内に“ハッピーホルモン”(オキシトシンとかドーパミンなど)を分泌。それが体に“フェロモン警報”を発し、“あの状態”になる。でも、猫の半分はネペタラクトンに反応しないので、そうなると“あの状態”にはならないのだそうだ。

そこでマーティー先生が勧めるのが、バレリアンルート(valerian root)。このハーブは、精神を安定させ、寝る前に飲むと安眠効果があることで知られ、太古の昔から人間用のリラックスハーブとして用いられているものだ。人間用のはビタミンショップや、自然食品店などで、カプセル錠剤がボトル入りで売られているので、不眠気味の人はぜひお試しを。

猫のハッピーアイテム3本柱、キャットニップ、バレリアンルート、マタタビ。どれがお宅のお猫様に喜んでもらえるか、いろいろ試してみるしかない…

と、少し脱線したが、話を猫に戻すと、バレリアンルートにはアクチニヂン(actinidine)というタンパク質分解酵素が含まれていて、それがキャットニップのネペタラクトンと同様の働きをして、猫の脳内で“ハッピーホルモン”の分泌を促す。いろいろな研究によると、猫の反応率は80%と高い。しかもマーティー先生によるとバレリアンルートは、一時的なユーフォリア状態だけでなく、猫のストレスを緩和し、健康も促進するという。

「獣医に行くときキャリアーの中に少量を振りかけたり、来客時に隠れる猫には、猫ベッドに少量を振りかけたりと、猫のストレス緩和に有効です」とマーティー先生。ただ、キャットニップ同様、乱用は禁物。一度に大量をやらないように。

猫用のバレリアンルートは、粉末状と、少し大きめの粒状のものがある。Chewy よりもAmazonで、実にいろいろなブランドが売られている。

日本でお馴染みの猫のマリファナといえば「マタタビ」。英語では「silver vine」といい、アメリカでも猫のトリートとして販売されている。枝タイプのものが多く、ChewyなどのオンラインショップやAmazonで安価で購入可。
Kana S. Cat Grooming
kanacatgrooming@gmail.com
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