2020年9月18日号 Vol.382

文:佐々木香奈(猫グルーマー)
NCGIA (National Cat Groomers Institute of America) member

マスター猫グルーマーへの道……遠い!

昨年春実習を終え、夏には州政府からDBA(Do Business As)を取得。なんとか始めたグルーミングビジネスだったが、パンデミックのために今年は追加実習ができず(何しろ師匠はピッツバーグ!)、計画が大いに狂ったので、この夏ビジネスは小休止することにした。思えば、猫グルーミングのマスター資格を取ろうと勉強を始めたのが2年前。つい最近、同じビルに住む猫シッターのおばあちゃんから、「猫のグルーミングを勉強してる人なんてあんたが初めてよ。そんなニーズあるの?」と言われ、「いやはや、猫グルーミングとは飼い主教育なくしてありえない」と痛感した。そこで今回は、猫のマスターグルーマー資格を取るためにどんな勉強をするのか、サラッとご紹介しようと思う。

資格取得のためには、4科目の筆記試験と、5つの実技試験に合格しなければならない。私の場合、筆記試験はガリ勉--->速攻合格したが、グルーミングの経験がないので実技で苦労している。毛剃りはできるが、剃り際の「ラインをもっとcrispに」なんて言われると、なかなか難しい。それに、実習でグルーミングした猫は凶暴な奴ばっか!おかげで傷だらけだ。

ドヤ!猫グルーマー試験の勉強ノート。今やこのノートこそが私の知恵袋。

さて筆記試験は、@猫の習性、行動、性格の大まかなパターンとそのハンドリング、A猫種(ブリード)と遺伝学、猫種と毛質、B猫の健康と医療(加齢と健康、皮膚と毛の健康、感染症と予防接種、その他疾患)Cビジネスエッセー。

問題は最初3つで、特にBなど、皮膚炎、猫白血病、猫エイズ(FIV)、FIP(Feline Infectious Peritonitis)などの感染症とその症状・検査法・治療法、糖尿病やHCM(心筋症)、予防接種の種類など、「これグルーミングに関係あるのか!」みたいな内容を延々と学ぶ。そのうち、「健康あってのグルーミング」であり、あらゆる知識を持つことはグルーマーにとって不可欠なんだと納得するようになるのだが。

ちなみに、飼い主として、自分の猫が何の予防接種を受けているのか知っておいても損はないので以下軽く説明を。まず、1〜3年に一度(獣医さんに相談を)受ける「三種混合」は、(1)Panleukopenia、(2)Rhinotracheitis、(3)Feline Calicivirusの3つの感染症を予防するため。(1)は猫ジステンパー(猫パルボ腸炎)のことで、犬のジステンパーより致死率が格段に高いそうなので予防接種は必須。(2)と(3)は、猫のウイルス性上部気道感染症(つまり風邪のような症状)の原因となるウイルスの9割を占めるもの。それにプラスして、Rabies(狂犬病)予防接種。詳しくはかかりつけの獣医さんに聞いてください。

他に、筆記試験@では、一般的な傾向としておとなしい猫ほど水が苦手で、凶暴な猫ほど水に濡れた途端におとなしくなることも知った。実際、クライアントの暴れ猫がシャンプー中じっとしているのを見て、なるほどと思わされた。筆記試験Aでは、毛の色が薄いほどダマになりやすく、定期的なグルーミングが必要になることなども。

で、あとは実技試験を4つほどクリアするだけなのだが、パンデミックが収まらないことには国内旅行もしたくない! 道のり遠し。次回からは、猫のフードやリッターなどについて、飼い主目線からの情報について発信していこうと思う。

アメリカ初(その1)最初のモービルspay/neuterサービスは、1994年テキサス州ヒューストンで。
(その2)猫のdeclaw(爪を関節から切断する手術)を最初に禁止したのは、2003年カリフォルニア州ウエストハリウッドで。
Kana S. Cat Grooming
kanacatgrooming@gmail.com
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