2020年8月21日号 Vol.380

文:佐々木香奈(猫グルーマー)
NCGIA (National Cat Groomers Institute of America) member

どのブラシがいいのか?

いやー、このコラムももう12回目か。多少変則としても月1の掲載として丸1年。猫専門グルーマーとしてよちよち歩きを始めてから、今もよちよち歩き。しかも今年はパンデミックのせいで実習もマスター資格の試験も中止ときたもんだ。ビジネスどころの話じゃない。ぶっちゃけグルーミングでは一銭も儲けていないぞ! これでいいのかと焦るものの、まあ仕方ない。このコラムでも、3月以来自宅でのグルーミングアドバイスをちょこちょこ書いているが、今回もそのパターン。

で、みなさん愛猫のブラッシングはどうしていますか? お宅の猫ちゃんはブラッシングが好き? それとも嫌い? 実はうちのルフィーは大嫌い。ブラッシングしようとすると、噛むは蹴るわ。5歳半でもらってきた猫なので、その時点で人格(猫格?)や嗜好は形成されてしまっていて、今更ブラッシングを好きになってくれと思っても無理な話。が、そこは私、曲がりなりにも猫グルーマー。今年10歳になったルフィーには毎日しっかりブラッシングを決行し、何とか受け入れてもらっている。

いろいろある猫用のブラシとクシ。猫の毛質によって使い分けるが、うちのルフィー(写真上)にはこれ、全部使います。

猫用ブラシは実にいろいろなのが売られており、どれが適しているかは猫による。毛の長さや毛の質、毛が多いか少ないかなど、いろんな要素が絡んでくる。短毛の猫なら、手袋タイプ(内側がゴムの突起がついてるやつ)」と、「KONG Cat Zoom Groom Brush」という、紫色のゴムブラシがおすすめ。皮膚を傷つけることなく、ゴムが毛の隙間からデッドヘアを集めてくれる。

そして長毛種なら、クシ(comb)がマスト。何種類かは持っていてほしい。写真の下の辺にあるのがそれで、一番下のがノミ取り用のflea comb。歯と歯の間が狭く、ノミを取る以外に目の周りのクリーニングに重宝する。特にペルシャ猫は目から涙が出るので、1日2、3回は拭いてやらないと目の周りに「こがり」が溜まってこびりつく。これを取るのにflea combがいい仕事をしてくれるのだ。歯と歯の間が狭いので、目に入って眼球を傷つける心配もない。

そのすぐ上の2つは、Chris Christensenというプロ仕様のクシ。小さい方がFace Comb (Fine/coarse) Buttercombで、大きい方がLong Tooth Fine/Coarse Buttercomb。プロ仕様とはいえ誰でも買える。1個30ドル〜50ドル以上とお高いが、とても丈夫で一生ものと言っていい。

あと、右端上も主に長毛種のデッドヘアをすくいとるのにいいツールで、その左横(個々のワイヤーの先にプラスチックの玉付きのものを選ぶこと)も同じく。

一つ、お勧めできないものがあるとすれば「Furminator」という商品。とてもよく宣伝された商品で、お持ちの人も多いと思うが、これは毛を“すく”ためのツールで、デッドヘアだけでなく、まだ健康な根のある毛まで抜いてしまう。とにかく気持ちいいくらい毛が取れるので、猫の夏の毛対策のためにピンポイント使用するのはいいが、無防備に使い続けると、毛を必要以上に薄くしてしまうので注意。

猫のpurr(ゴロゴロと喉を鳴らす音)の治癒と癒し効果:近年の研究結果で、purrのバイブレーションが猫の骨や筋肉を強化する効果があることが分かった。しかも同レベルのバイブレーションが人間の各種ヒーリングにも長年使用されており、猫のpurrは猫と人間の治癒と癒しの素ということになる!さすがはお猫さま!
Kana S. Cat Grooming
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