2020年4月3日号 Vol.371

文:佐々木香奈(猫グルーマー)
NCGIA (National Cat Groomers Institute of America) member


看護師さんたちイチコロ。つけ心地もいい布製のファッションEカラー

顎ニキビ続編
侮れないファッション系Eカラー

うちの愛猫ルフィーは今、「feline chin acne(猫の顎ニキビ)」の治療中。意外にしつこいニキビで、結局Eカラーをつける羽目になった。Eカラー、つまりElizabethan Collar(E-Collar)。イギリスのエリザベス女王のガウンのデザインに因んでこう呼ばれる。Buster collarとか、pet coneとも。
手術後に、犬猫が縫い目を舐めないようにするとか、皮膚アレルギーの悪化を防ぐためとか、あらゆる治療過程で利用されるが、獣医さんでもらうのは決まってプラスチック製か、いかにも医療用の味気ない布製のカラーだ。プラスチック製に関しては、常々「動物の立場に立たない、不親切な作りだ」と思っていた。視界を遮らないように透明なのはいいが、やっぱりあの硬さがネック(ダジャレじゃなく!)。
ルフィーの場合、獣医のクリニックにEカラーの予備がなく、近所のペットストアに買いに行かされるというあり得ない展開に。で、その店にはプラスチック製しかなかったので、仕方なく買って装着してみたものの、全く話にならない。視界がどうのという以前に、あの硬い物体を首の周りに着けられると、それを「敵」と勘違いするのか、ルフィーはじりじりと後退りし、壁に尻をぶつけたところで体を硬直させてしまった。案の定だ。
それならと、アマゾンで布製のEカラーを探した。実にいろいろな商品があったが、以前獣医さんにもらったことがある、いかにも医療用の味気ないやつ(大体は青い色をしてる)を本命として選び、ピンクに白い水玉のファッション系のやつを試しにオーダーした。
軍配は、文句なしに予備のつもりだった「ピンクに白い水玉のファッション系のやつ」に上がった。フェルト生地で軽く、作りもしっかりしていて、柔らかく、首周りのフィット感もいい。眼から鱗だった。洗濯物と一緒に洗って、乾燥機で乾かして何度でも使える。ルフィーはそれを着けるとすぐに慣れて、着けたままご飯も食べるし、キャットヨガもするし、グースカ寝る。
治療のフォローアップで獣医さんを訪れた時、看護師さんたちがウヨウヨとルフィーの周りに集まってきて、「OMG! So cute! Where did you find this? OMG!」を口々に連発。看護師ゴロシのファッションEカラーだった。イチコロってやつだ。
一方で、本命に選んだはずのいかにも医療用のやつは、2つ折りになったものを広げて、無理やり丸くして使うので、どうしても折り目の部分がいびつになる。装着時にカラー(コーン)の形が歪み、ルフィーは見るからに着け心地悪そうにしていた。それでもプラスチックより断然いいが。
いったん着けたらしばらく使うものなので、替えがないと困る。早速またアマゾンで、今度はヒマワリデザインの布製カラーを注文した。いずれもサイズがあり、7ポンド半ほどの小さい猫のルフィーは「スモール」(カラーの幅は4インチ)でぴったり。もう少し大きい猫は「ミディアム」(幅5インチ)がいいかもしれない。装着方法は、カラーの両端にあるマジックテープ(あの表面がざらざらして、バリバリっと何度も取り外しできるやつ)で。
たかがEカラーではない。ペットが快適に過ごせるものを選んでやりたいものだ。そろそろ獣医さんのクリニックでも、こういう着け心地のいいファッション系カラーを完備してくれないものかと思う。ファッションを侮るなかれ! 検索のキーワードは「Soft Pet Cone Collar」。

★COVID-19番外編:市販の消毒スプレーのライソールは、猫に有害な物質が含まれているそうです。ペットセーフの商品には、Seventh Generation、OdoBan(これちょっと臭いけど)などがあります。
Kana S. Cat Grooming
kanacatgrooming@gmail.com
Voice/Text: 646-456-6399



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