2019年11月15日号 Vol.362

文:佐々木香奈(猫グルーマー)
NCGIA (National Cat Groomers Institute of America) member

猫に危険な観葉植物や食べ物

グルーミングとは直接関係ないが、猫にとって危険な観葉植物と食べ物その他について話しておこうと思う。ここで挙げる例は、基本、猫が口にする、または飲み込んだ場合に毒になるものと思ってもらえばいい。そして、一言で「毒性」といっても程度があって、ちょっと舌が痺れる程度のものから、命にかかわるものまでいろいろだ。私も、猫のグルーミングのコースで知識として学んだ程度なので、これを読んで「嘘だ」「気になる」「もっと詳しく知りたい」という人は、かかりつけの獣医さんに聞いてみてほしい。
まず、クリスマスシーズンになると出回るポインセチアが猫に毒であることは皆さんご存じのはず。正直ポインセチアって見た目が毒々しいので、納得って感じもする。その他、例を挙げればキリがない。例えばアロエ、アマリリスもダメだし、ユリ科とツル科はまず全部ダメと思った方がいい。あとはクリスマスローズ(他のローズはとりあえずリストにないからOK)、ヒアシンス、ユーカリ、ヤドリギ(クリスマスになると出てくるあの赤い実をつけたmistletoe)、スネークプラント、ポトス、チューリップなどなど。カンナビス(マリファナの植物)もアウトです!
ポトスやスネークプラントは育てやすい人気の観葉植物なので、これらが今「うちにある!」という読者も多いと思う。すぐに捨てるのもなんなので、猫が興味を示さないのであれば、注意しつつ、なるべく猫に届きにくい場所に置くなどの工夫をしてはどうだろうか。
食べ物では、常識的なところで玉ネギ、ニンニク、ネギ。要は、ネギ科は全部アウト。アボカド(実とタネの両方)、キノコ類、ブドウ(干しぶどうも)、チョコレートも毒リスト入りしている。
その他、部屋の芳香剤としてのポプリ。これからの季節、松ぼっくりとかが入ったホリデー用ポプリが売り出されるが、猫を飼っている家庭には置かない方がいい。何が毒かというと、ポプリに使われる人工のアロマオイルだ。植物から抽出する自然のエッセンシャルオイルも、シトラス系などは猫に毒性があるので、万全を期すなら全部避けた方がいい。万が一、これらの香油を猫が口にした場合、飲み込んだ場合、猫の肝臓はこれらの成分を代謝する機能を持たないので、場合によっては一気に具合が悪くなる。口から泡を吹いたり、食欲がなくなったりしたら、すぐに獣医さんに診てもらってほしい。芳香剤としても、長期間常用すると肺を通して猫の体内に蓄積してしまうので、これも万全を期すなら使わない方がいいと思う。
そして、人間用の市販薬で猫に毒性があるものの代表がタイレノール。人間用の薬は、獣医さんから特に指示がない限り、自己判断で安易に猫に飲ませないことだ。クロゼット用のモスボールや、家庭用清掃剤一般も、絶対に猫の手(や口)が届かないところに保管し、使った後はきちんと拭き取ること。

1940年の肉不足がきっかけで、猫用ドライフードが開発された。meat by product と穀物を混ぜたジャンクフードだったが、その利便性で一気に市場を席巻。


誕生日に花をもらったはいいが、うちのルフィーが興味津々。この後、万全を期してこの花は、ルフィーに届かない、部屋の片隅に押しやられた。せっかくの花だったのだが。


Kana S. Cat Grooming
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