NY近郊ゴルフ場ガイド
一歩店に入れば、京都の老舗割烹の雰囲気が漂う店が、ダウンタウンのイースト・ビレッジに3月27日オープンした。 店の名前は精進料理の店「嘉日」(かじつ)。京都で代々続いている生麩の専門店で麩嘉饅頭(ふかまんじゅう)などを製造販売している「麩嘉」(本社・京都市上京区、小堀周一郎社長)が、20年来の夢を実現してニューヨークに店を構えた。 わずか30席の小さな店だが、入口左には、大きなカウンターが目につく。木目がきれいな欅(けやき)のカウンターは長さ5メートル、横幅1メートルほど。全てつなぎ目なしで1本の木で出来ている。 驚くのは、カウンター奥には火山の噴火などで1200年以上埋没し、表面が炭化している神代欅(じんだいけやき)が板場のつけ台として置かれている。 壁は土壁で、さり気なく花一輪が飾られている。「茶の湯をイメージした」そうだ。 また、北海道の日高から運んで来た丸太の素材をイメージした欅のテーブルや屋久杉、すす竹を入口付近のつい立てにも使用している。 全ての木材は日本からで、半年前から制作にかかり、大工を連れてニューヨークに運び、組み立てたという。 17日、19日には関係者や報道陣を招いて試食会を行った。京都料理ならではの精進料理で、料理長は「嵐山吉兆」出身のの西原理人さん。 茄子、もち麩、トマト、マッシュルーム、みようがなどを使った野菜の揚げびたしは、コブ出汁で素材の味を生かしている。 タケノコを柔らかく煮込み、タケノコの皮に盛られ、彩りでアルーグラを使っている。 里いもを錬りあげて団子状にして揚げたものや、赤飯のちまき、ビーツなどの野菜チップ、麩の中にみそあんを入れた麩、汲み揚げ湯葉をしょう油ときな粉でパウダー状にしてまぶしたもの、手作りこんにゃくにブロッコリーラブを巻いたもの。 「素材は現地のものを多く取り入れました。新しいスタイルの精進料理を出していきたい」と西原料理長は話している。 デザートは京都の老舗和菓子で有名な「京菓子司末富」から山口祥二氏が来て、和菓子作りのデモンストレーションを行った。あんこに練りきりをまぶした「花の山」は人気絶大。この他、きなこもち、おはぎなども出された。 器もこだわりがある。大皿は備前焼き、煮浸しは黄瀬戸、さらに粉引、信楽焼きなどの皿に料理が運ばれる。 実は20年前に「麩嘉」が、ニューヨーク・タイムズ紙に「日本の伝統文化をアメリカ人にも知って欲しい」と全面広告を出したことがある。「何か京都から発信したかった」と数年前から企画していた。 お茶の一保堂茶舗、お香の松栄堂などの協力を得て、ニューヨークに京都の文化を伝える店として「嘉日」がオープンする運びとなった。 この場所を使って、料理だけではなく、正しいお茶の入れ方、お香の効用などのデモンストレーションも行っていきたいという。 料理は、当面コース・メニューで4品45ドル、6品で65ドル。徐々に単品メニューも加えていくそうだ。