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よみタイムVol.210 2013年7月19日発行号  [おでかけナビ Vol.43]

味付けは塩、コショー、オリーブオイル。醤油や大根おろしなども持ち込める


Astoria Seafood
37-10 33rd St., Astoria
Tel:718-392-2680
営業時間 ※日曜定休
11:00am〜9:00pm
最寄り駅
N/Qライン 36 Ave.駅


庶民が集う「食堂」
選んだ魚を調理「アストリア・シーフード」


鮮魚がずらりと並ぶカウンターから好みの魚をビニール袋へ

料理を待つ間におすすめのグリークサラダ(右)と
「食べられたらラッキー」のパン (左)

エビのグリル。フライでも美味しい

フレンドリーなオーナーのスピーロさん

 ギリシャ系移民が多い事で知られるクイーンズのアストリア。日本人と同じようにギリシャ人は魚料理をよく食べる。
 鮮魚店とレストランを兼ねた「アストリア・シーフード」を経営するのは、ギリシャ人のスピーロさん。「レストラン」と呼ぶより「食堂」という言葉がピッタリで、洒落た内装やインテリアがあるわけではなく、無駄を排した「食べる」ための空間だ。
 店内左側にオープンキッチン、ホールにはテーブルが8台程が用意され、一番奥に新鮮な魚介類が並ぶケースカウンターが設置されている。
 同店の原則は「先着順」。いつも混雑しているが、順番を待つ名前など控えてくれない。そもそもフロントデスクも無し、ましてやメートルディーも居ないのだ。誰が先に待っているか、どのテーブルが空くかなどは、客同士が「平和的に」確認し合う。
 さらに、席に付いても注文は聞いてくれない。黙って座っていても何も食べられない。この店の「常識」を知らずに席に座り「サービスが悪い!」と怒って帰る客も見かけた。とにかく、普通のレストランとは違う事を覚悟しておこう。
 席を確保したらテーブル番号を覚え、いよいよ注文。壁にはメニューも書かれているが、ココの醍醐味は好みの魚を料理してもらえる点だ。
 方法は至ってシンプル。鮮魚が並ぶカウンターケースから食べたい魚をビニール袋へ入れ、スピーロさんがいるレジ・カウンターへ持っていく。調理方法は「グリル」か「フライ」のみ。「こっちの魚をグリルで、こっちの魚をフライで」と手渡し、テーブル番号を告げればオーダー完了。
 注文は聞いてくれないが、料理は運んでくれるので後は席で待つのみ。大きな魚は調理に時間がかかるため、エビやイカ、小魚などをフライで注文しておくと出来た順番にサーブしてくれる。グリークサラダもおすすめだ。
 実は、サービスされるガーリック・トーストがかなり美味しいのだが、これは忙しい時には何度頼んでも出てこない。「食べられたらラッキー」ぐらいの気持ちで、サーブされなくても怒らないこと。
 缶ジュース類は置いてあるが、アルコール類は無い。しかし持ち込み可能なので、ビールやワイン、お茶など、好きな物を持参しよう(皿はあるがコップはないので持参を)。筆者は飲み物の他に「大根おろし・醤油・ポン酢」なども持ち込み、店員から「自宅にいるみたいでイイだろ!」と声をかけられた。
 食べ終わったら支払いはカウンターで、そしてチップはチップボックスへ入れる。ちなみに過去の支払い金額は、いつも「ん十ドル」のぞろ目。一品いくらだったか、はっきりしないのだが「ぼられている」と感じたことはない。言わば「商店街の魚屋の大将」と「馴染み客」のような信頼関係で成り立っているのだ。
 席には案内されない、注文は取ってくれない、忙しい時はパンも出てこないという、一般的な「サービス」を期待する人には向かない店だが、スタッフは皆、フレンドリー。スピーロさんはいつも笑顔で「アリガトウ!」と声を掛けてくれる。営業時間は午後9時までだが、この日はすでに9時半。「9時には閉めたいと思ってるけど、9時に帰ったことはないな〜。ま、適当にやるサ!」と、とにかく陽気だ。
 一人で無心に魚を食べているお父さんや、子連れの家族、ワインを持ち込むカップルなど、皆、思い思いに食事を楽しんでいる。「アストリア・シーフード」はマンハッタンのレストランとは異なり、庶民が集う憩いの食堂だ。