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ブロードウェイを舞台裏から楽しむ
「ミュージアム・オブ・ブロードウェイ」
アメリカにおける演劇産業の中心、ブロードウェイ・ショーの歴史と遺産を包括的に紹介した博物館「ミュージアム・オブ・ブロードウェイ(Museum of Broadway)」が2022年11月15日、タイムズ・スクエアにオープン。当初は2020年に開館予定だったがコロナ禍で延期。ミュージカルから演劇まで、数々の名作の「舞台裏」を紹介するインタラクティブで没入型の展示だ。
会場はまず、「マップ・ルーム」からスタート。美しいプロジェクション・マッピングとナレーションが、ブロードウェイ劇場の歴史を紐解く。
劇場の誕生は1700年代まで遡る。マンハッタンで初の「劇場」と認識されているのは、ファイナンシャル・ディストリクトにあった「シアター・オン・ナッソー・ストリート(Theatre on Nassau Street)」。2階建ての木造建築物で1732年12月11日、「The Recruit-ing Officer」の上演で開館、約280人を収容した(1765年に解体)。

当時はダウンタウンが「劇場の中心」であり、1798年、同じくファイナンシャル・ディストリクトに「パーク・シアター(Park Theatre)」が、1826年にはローワー・イーストに「バワリー・シアター(Bowery Theatre)」がオープン。共に火事で現存していないが、裕福な人々が集うシアターとして親しまれていた。
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劇場は1850年頃から、より安価な不動産を求めてマンハッタンを北上。1870年頃にはユニオン・スクエアが、1900年まではヘラルド・スクエアが、ブロードウェイ劇場の中心となっていた。
1900年代初頭、劇場はタイムズ・スクエア界隈に到達。1920年代から30年代にかけて、多数のシアターが建設された後、「ブロードウェイ・シアター」として統合、現在に至っている。

人々を夢の世界へと引き込むブロードウェイ・ショーだが、その一方で、人種問題に触れた初のミュージカル「ショウボート」(1927年)、ベトナム反戦を掲げたミュージカル「ヘアー(1967年)、エイズをテーマにしたドラマ「エンジェルス・イン・アメリカ」(1993年)など、国内の問題にも容赦なくスポットを当てる。ブロードウェイ作品を時系列に沿って紹介したコーナーでは、エンターテイメントを通して社会問題を浮き彫りにした制作者たちの姿勢が見えてくる。

各作品を紹介したコーナーでは、ショーガールへの敬意を示した「ジーグフェルド・フォリーズ」を筆頭に、とうもろこし畑を表した「オクラハマ」、「ウエスト・サイド・ストーリー」スタイルの電話ボックスとドラッグストア、「レント」にインスパイアされたニューヨークの街角を通り抜ける。
他にも「ハデスタウン」「戦火の馬」「ドリームガールズ」「オペラ座の怪人」「アニー」など、話題作のオリジナル・コンセプト・デザイン、衣装、小物などを通して、作品の芸術的ビジョンと制作者の思考を展示。毎晩、ブロードウェイに命を吹き込む才能に溢れたプロフェッショナルたちを称えている。
入場は時間予約制、ニューヨーク在住者は割引あり(一般入場料のみ・要ID)。詳細・予約はウェブサイトで。
Museum of Broadway
■会場: 145 W. 45th St.
■入場料:一般$43〜、シニア(65歳以上*要ID)$36〜、学生(*要ID)$33〜
※ニューヨーク在住者(*要ID):一般$33〜(シニアおよび学割なし)
■www.themuseumofbroadway.com