2020年2月7日号 Vol.367

地下鉄アート

駅 Lexington Ave -59 St (Manhattan)

エリザベス・マーレイ「ブルーミング」
ELIZABETH MURRAY: Blooming, 1996


All photos by YOMITIME



シカゴ生まれの画家・版画家のエリザベス・マーレイ(1940年〜2007年)。グラフィック・デザイナーを目指していた母は娘のエリザベスに絵を奨め、1958年、スクール・オブ・ザ・アート・インスティチュート・オブ・シカゴに入学。学生時代にはポスト印象派のポール・セザンヌ、アメリカのネオダダ作家、ロバート・ラウシェンバーグやジャスパー・ジョーンズなどの影響を受けた。62年にBFAを、64年にはミルズ大学でMFAを取得し、67年からニューヨークを拠点に活動。2006年、キャリア40周年を記念してMoMAが開催した回顧展は、国内外で高く評価。2007年、肺ガンで亡くなったマーレイの生涯と作品は、クリスティー・ジー監督のドキュメンタリー「Everybody Knows... Elizabeth Murray」(2016年)に収められている。

同駅は、デパート「ブルーミングデールズ」の地下にあることから、作品名を「ブルーミング」と銘々。地下鉄を「夢のような地下世界」で「目覚めの場所」と定義し、ピンクの木や巨大な靴などを大胆に配置。毎朝夕に行き交う人々をイメージし、地下鉄に足を踏み入れる「靴」と、「湯気を立てるコーヒーカップ」を追加した。喜びにあふれた色と形が、地下空間に咲き乱れた作品。

駅 Court Square - 23St (Long Island City)

エリザベス・マーレイ「ストリーム」
ELIZABETH MURRAY: Stream, 2001

こちらもエリザベス・マーレイの作。主に日常的なモチーフを元にすることで知られるマーレイ。同作は、駅構内の通路を通り過ぎる人々を「流れる水」に例え、「ストリーム(stream)」と銘々。輝く太陽が昇る新しい一日を、巨大な「一歩」が踏み出す。鮮やかで明るい色彩とカートゥーン風な絵柄が、通勤者にエネルギーと高揚感を与えている。


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