2019年9月20日号 Vol.358

地下鉄アート

駅 57 Street (Manhattan)

アレックス・カッツ「メトロポリタン・フェイス」
ALEX KATZ : Metropolitan Faces, 2018


All photos by YOMITIME



1927年、ニューヨーク・ブルックリン生まれのアレックス・カッツ。絵画、彫刻、版画で知られるアメリカの「フィギュラティブ・アーティスト」だ。「figurative art(フィギュラティブ・アート)」とは、現実の物事を題材にして生み出された芸術で、カッツ作品のテーマの多くは「肖像」と「風景」。1960年代初頭、映画やテレビ、看板広告などにインスピレーションを受けたカッツは、大きな絵を描き始めるようになる。以来、家族やアーティスト、作家たちを描き続け、そのシンプルで大胆な構図から「ポップアートの先駆者」と評されている。1974年に行われたホイットニー美術館での展示後、人物から風景に焦点を当てるように。1980年代にはファッション界に目を向け、ファッションモデルのケイト・モスやクリスティー・ターリントンなどを描いた。カッツの作品は、世界各地で100を超える美術館や公共機関に収蔵されている。

「メトロポリタン・フェイス」は、大胆に簡素化された肖像画と花を描いた作品群。シンプルでありながら正確なブラシストロークで被写体を捉えるカッツ独自のペイントスタイルだ。合わせガラスで制作された巨大な絵には、周囲の風景が映り込み、鮮やかに輝く。描かれた人物像は道行く人々であり、花々は駅近くのセントラルパークを表現。カッツは、「全ての人々のためにアートを制作するということは、私の特権です」と述べている。


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