2019年9月6日号 Vol.357

地下鉄アート

駅 36th Avenue (Astoria)

モーリン・マックラン「クリスタル・ブルー・パースエイション」
Maureen McQuillan : Crystal Blue Persuasion, 2018


All photos by YOMITIME



ニューヨークのマンハッタンで生まれ、現在はブルックリンを拠点に活動するコンテンポラリー・アーティストのモーリン・マックラン。コロンビア大学で米語の学士号を修得後、ニューヨーク・スタジオ・スクールで学ぶ。過去20年に渡り、多種多様な方法で作品を発表。プリンターのインクと樹脂を使用したペーパー作品、カメラを使用しない写真、インスタレーションなど、国内外でグループショーや個展を開催。作品は、美術館や企業、個人コレクターなどに収蔵されている。

アメリカのロックバンド「トミー・ジェイムス&ザ・ションデルズ」のヒット曲を作品名にした「クリスタル・ブルー・パースエイション」は、ストライプやダイヤモンドなど、シンプルなモチーフを重ね、反復させたカラフルな合わせガラスのアートワーク。計算されたパターンと色に光が反射する様子は、まるで万華鏡を覗いたような「別世界」を感じさせる。制作プロセスにおいて自分の内面を見つめ、予測不可能なものや不完全性についての側面を探っているというマックラン。近年の作品について、「西洋美学における伝統的な線と色の関係を気にすることなく、自分の中に内在する『色』という可能性を探っている」と述べている。

1969年にリリースされた「クリスタル・ブルー・パースエイション」は、当時の政治的不安を背景に「愛を平和」を訴えていた。同様にマックランは作品で、社会の平穏と隣人への愛情を問いかけている。


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