2019年8月9日号 Vol.355

地下鉄アート

駅 125th Street (Manhattan)

バレリー・メイナード「意識と光のポリリズム」
VALERIE MAYNARD: Polyrhythmics of Consciousness and Light, 2003


All photos by YOMITIME


ニューヨーク、ハーレム生まれの黒人女性、バレリー・メイナード(1937年生まれ)は、彫刻家、版画家、デザイナー、教師としても活動。社会的な不平等や公民権運動をテーマにした作品がしばしば登場し、1960年代から70年代にかけて起きた「黒人芸術運動(Black Arts Movement)」に賛同。アメリカでコンテンポラリー・アーティストにおける「重要な芸術家」のひとりに数えられ、常に「黒人」としての創造性を示してきた。その活動は多くの同胞に支持され、スティービー・ワンダー(シンガー)、レナ・ホーン(ジャズシンガー)、トニ・モリスン(ノーベル文学賞受賞作家)といった個人もメイナードの作品を収蔵している。

「私は自分自身をアーティストとは考えていません」というメイナード。「意識と光のポリリズム」は、幾何学模様を背景に、抽象化・パターン化された人々が描かれている。それらはミュージシャンであり、ダンサーであり、パフォーマーであり、近隣住人たちだ。故郷・ハーレムで生まれる無限のエネルギー、心、光を捉え、同胞たちへ「創造性への旅立ち」を促そうするメッセージである。


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