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2025年1月31日号掲載|2
デザインが起こした革命
生活様式を再定義「ピルエット:デザインの分岐点」
@ニューヨーク近代美術館(MoMA)
ニューヨーク近代美術館(MoMA)で1月26日(日)から10月18日(土)まで、「ピルエット:デザインの分岐点(Pirouette: Turning Points in Design)」と題したエキシビションが開催。展示はMoMAのコレクションから選ばれた100以上のアイテム。家具や電子機器、シンボル、情報など、1930年代から今日まで、「デザイン」が与えてきた影響や変化を考察する。


NTTドコモの携帯電話向けインターネットサービス「iモード」内の独自機能として誕生した「絵文字(1999年)」=写真①=。生みの親は、当時同社の開発企画者であった栗田穣崇(くりた・しげたか)氏。「感情」をシンプルなアイコンとして表現することで、視覚的なコミュニケーションを可能にした。その後「絵文字」はEmojiへと発展、今では世界共通言語となっている。

ブロンクス出身のグラフィック・デザイナー、ミルトン・グレイザーが制作したニューヨーク州の観光キャンペーンロゴ「I♥NY」(1977年)。グレイザーがタクシーの後部座席に座っていた際に閃いたデザインで、スクラップ帳に赤いクレヨンで描いたオリジナル・スケッチ=写真②=が現存している。「LOVE」を「♥ハートマーク」に置き換えることで、視覚的に「愛」を表現した斬新なアイデアで、その後、多くの類似デザインが登場した。
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気候科学者のエド・ホーキンスが制作した「温暖化ストライプ」=写真③=は、1850年から2023年まで月毎の気温を視覚化。地球の平均気温が着実に上昇していることを視覚的にみせることで、問題をより明確にし対話を促す。

「革命的な実験の成功例」として紹介されたアイテムも興味深い。3Mの科学者、スペンサー・シルバーが製品化した貼って剥がせるメモ用紙「ポストイット・ノート(3M、1977年)」、手のひらサイズの携帯音楽プレーヤー「ウォークマン(ソニー、1979年)」、専門家だけが利用していたコンピューターを一般向けに開発した「マッキントッシュ(アップル、1983年)」=写真④=など、それまでの生活様式を再定義。利便性だけでなくデザイン的にも優れ、広く世界に流通、現在に繋がっている。

The Museum of Modern Art, New York. © Apple, Inc.
本展は、成功したモノから残念だったモノまで、デザイナーの想像力、実験・研究、遊び心が、どのように活用されたかを示している。
Pirouette: Turning Points in Design
■1月26日(日)〜10月18日(土)
■会場:The Museum of Modern Art(MoMA):11 W. 53 St.
■大人$30、65歳以上$22、学生$17、16歳以下無料
■UNIQLO Friday Nights:NY州在住者は入場無料
毎週金曜5:30pm〜8:30pm(要予約)
■https://www.moma.org
