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新作&新演出が目白押し!「メトロポリタンオペラ2025〜26シーズン」八嶋恵利奈が指揮デビュー

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新作&新演出が目白押し
八嶋恵利奈が指揮デビュー
メトロポリタンオペラ2025〜26シーズン

2025年10月3日号掲載|4

9月21日に、新作「The Amazing Adventures of Kavalier & Clay (カヴァリエとクレイの驚くべき冒険)」で開幕したメトロポリタン・オペラ(以下MET)2025〜26シーズンは、METプレミア「Innocence(イノセンス)」=写真①=、「El Último Sueño de Frida y Diego(フリーダとディエゴ最後の夢)」=写真②=に加えて、新演出「La Sonnambula(夢遊病の女)」=写真③=、「 I Puritani (清教徒)」、「Tristan und Isolde(トリスタンとイゾルデ)」=写真④=の3作品、更にMETが誇る再演作品12本がラインナップ。2026年6月6日まで197公演という世界一の規模で開催される。

「イノセンス」
①「イノセンス」A scene from Kaija Saariaho’s “Innocence.” Photo: Jean-Louis Fernandez / Festival d’Aix en Provence

ホリデーシーズンの恒例演目「魔笛」(英語版)の指揮を、八嶋恵利奈が12月11日から8回担当、METデビューを飾る。八嶋は、2016年から2年間シカゴ交響楽団で、リカルド・ムーティのアシスタントとして研鑽を積み、2019年からフィラデルフィア管弦楽団のアシスタント・コンダクターを務める。1986年生まれの39歳、これからの活躍が大いに期待される!

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METプレミア作品「イノセンス」は、学校での銃乱射事件をきっかけに残されたトラウマの闇を描いた、故カイヤー・サーリアホの遺作オペラ。

シュトラウスの「エレクトラ」やベルクの「ヴォツェック」というカノンオペラの中でも最も衝撃的な2つのオペラからインスピレーションを得たサーリアホは、現代の無分別な暴力に対する生々しい心の叫びを、不気味で暗く美しい音の世界へと昇華させたものだ。

著名なフィンランド人作家ソフィ・オクサネンとアレクシ・バリエールが台本を手掛け、2021年エクスアンプロヴァンス音楽祭での初演で絶賛された。

サイモン・ストーンによる力強くダイレクトなオリジナル・プロダクション。ソプラノのジョイス・ディドナートとフィンランドのエスノ・ポップ歌手ヴィルマ・ヤー等が、スカンジナビアの民俗音楽とシュプレヒシュティメ(言語と歌を組み合わせた発声法)を融合させた多言語による楽曲に挑む。

フリーダとディエゴ 最後の夢
②「フリーダとディエゴ 最後の夢」Carlos Álvarez as Diego Rivera and Isabel Leonard as Frida Kahlo in Gabriela Lena Frank’s “El Último Sueño de Frida y Diego.” Photo: Zenith Richards / Met Opera

3つ目の新作「フリーダとディエゴ 最後の夢」=写真②=は、メキシコの画家、フリーダ・カーロと夫のディエゴ・リベラの絵画からインスピレーションを得たガブリエラ・リーナ・フランクの処女作オペラ。カラフルなデボラ・コルカー演出とラテン音楽の要素を取り入れ、魔術的なリアリズムで描かれている。

台本はピューリッツァー賞受賞の劇作家ニノ・クルスが手掛け、メゾ・ソプラノのイザベル・レナード扮するフリーダが死者の日に冥界を去り、バリトンのカルロス・アルバレス演じるディエゴと1日だけ再会するところから物語は始まる。しかし、死者であるフリーダは、生きている人間に触れてはならないのだ。「オルフェオとエウリディーチェ」のストーリーを逆転させたような展開となっている。

演出のデボラ・コルカーは、リオ・オリンピックの開会式も手掛けている。

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ニュープロダクションに衣替えする作品は、33歳で夭逝したベルカント(文字通り、美しい歌唱)・オペラのエキスパート、ヴィンツェンツォ・ベッリーニの「夢遊病の女」=写真③=と「清教徒」。クラシック・ミュージックで、最もセクシーと言われているリヒャルト・ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」=写真④=。

夢遊病の女
②「夢遊病の女」A scene from Bellini’s “La Sonnambula.” Photo: Ludwig Olah / Semperoper Dresden

「夢遊病の女」の演出を手掛けるのは、アンナ・ネトレプコの相手役として一世を風靡した往年のテノール歌手、ロランド・ビリャソン。演出家として華々しい第2のキャリアを歩み始め、堂々たるMETデビューを果たす。スイスアルプスというオペラのオリジナルの舞台はそのままに、現実と夢の世界の心理的な谷間を探求する。タイトルロールには、ソプラノのナディーン・シエラが超絶技巧の難役に挑戦する。この役は作曲当時の最高の歌姫、ジュディッタ・パスタのために作曲されたもので、息を吞むような歌唱の技巧が求められる。

大みそか恒例の新演出ガラ・オペラは、「清教徒」。ベッリーニ最後の傑作が50年ぶりとなる新演出で披露される。(針ヶ谷郁)

「トリスタンとイゾルデ」
④「トリスタンとイゾルデ」Lise Davidsen as Isolde in Wagner’s “Tristan und Isolde.” Photo: Paola Kudacki / Met Opera

メトロポリタンオペラ 2025〜26シーズン
■会場:メトロポリタン歌劇場
 30 Lincoln Center Plaza
■Tel: 212-362-6000
https://www.metopera.org

★新演出/初演
■THE AMAZING ADVENTURES OF KAVALIER & CLAY カヴァリエとクレイの驚くべき冒険

 メイソン・べイツ作曲(英語)
 9月21日〜10月11日

■LA SONNAMBULA 夢遊病の女
 ベッリーニ作曲(イタリア語)
 10月6日〜11月1日

■I PURITANI 清教徒
 ベッリーニ作曲(イタリア語)
 12月31日〜2026年1月18日

■TRISTAN UND ISOLDE トリスタンとイゾルデ
 ワーグナー作曲(ドイツ語)
 2026年3月9日〜4月2日

■INNOCENCE イノセンス
 カイヤ・サーリアホ作曲(多国語)
 2026年4月6日〜29日

■El Último Sueño de Frida y Diego フリーダとディエゴ 最後の夢
 ガブリエラ・リーナ・フランク作曲(スペイン語)
 2026年5月14日〜6月5日

★再演
■TURANDOT トゥーランドット

 プッチーニ作曲(イタリア語)
 9月23日〜10月18日
 2026年5月19日〜6月6日

■DON GIOVANNI ドン・ジョヴァンニ
 モーツアルト作曲(イタリア語)
 9月24日〜11月22日

■LA FILLE DU REGIMENT 連隊の娘
 ドニゼッティ作曲(フランス語)
 10月17日〜11月22日

■LA BOHEME ラ・ボエーム
 プッチーニ作曲(イタリア語)
 10月21日〜12月12日、2026年4月11日〜5月2日

■CARMEN カルメン
 ビゼー作曲(フランス語)
 10月28日〜11月29日、2026年1月11日〜23日

■ARABELLA アラベラ
 リヒャルト・シュトラウス作曲(ドイツ語)
 11月10日〜11月29日

■ANDREA CHENIER アンドレア・シェニエ
 ジョルダーノ作曲(イタリア語)
 11月24日〜12月13日

■PORGY AND BESS ポギーとベス
 ガーシュウィン作曲(英語)
 12月2日〜2026年1月24日

■THE MAGIC FLUTE 魔笛
 モーツアルト作曲(英語)
 12月11日〜2026年1月3日

■MADAMA BUTTERFLY 蝶々夫人
 プッチーニ作曲(イタリア語)
 2026年1月9日〜24日、3月3月〜28日

■LA TRAVIATA 椿姫
 ヴェルディ作曲(イタリア語)
 2026年3月20日〜6月6日

■EUGENE ONEGIN エフゲニー・オネーギン
 チャイコフスキー作曲(ロシア語)
 2026年4月20日〜5月16日

フリーダとディエゴ 最後の夢

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