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アートの常識を壊した男、マルセル・デュシャンをMoMAで体感

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「芸術とは何か」を覆す
革新の全貌に迫る
「マルセル・デュシャン」回顧展

2026年4月3日号掲載|3

ニューヨーク近代美術館(MoMA)は2026年4月12日(日)から8月22日(土)まで、マルセル・デュシャンの大規模回顧展(共催:フィラデルフィア美術館、協力:ポンピドゥー・センター)を開催する。1973年にMoMAとフィラデルフィア美術館が共同で開催して以来、北米での本格的な回顧展は50年以上ぶり。今回は21世紀の観客に向け、デュシャン創作の全体像を提示。絵画、彫刻、映画、写真、ドローイング、印刷物など、あらゆるメディア作品を通して、約60年にわたる多面的な活動を紹介する。

「L.H.O.O.Q.」(1919)
L.H.O.O.Q., 1919. Private Collection
Fountain, 1950
Fountain, 1950 (replica of 1917 original)
Philadelphia Art Museum

長年にわたりデュシャン作品と深い関係を築いてきたMoMAとフィラデルフィア美術館。MoMAは彼の作品を最初に収蔵した美術館で、「Fantastic Art, Dada, Surrealism」(1936)や「The Art of Assemblage」(1961)などの重要展にも出品。一方、フィラデルフィア美術館は、デュシャン作品最大の所蔵先であり、「大ガラス」(1915–23)や「エタン・ドネ」(1946–66)といった重要作品を常設展示している。

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本展は、1900年から1968年までのキャリアを時系列で紹介、各ギャラリーごとに異なる制作段階に焦点を当てる。
初期のドローイングや風刺画、フランスのサロンに出品された絵画から始まり、代表作「階段を降りる裸体 No.2」(1912)へと至る。

既製品をそのまま作品とした「レディメイド」は、デュシャンが「自身の作品の中で最も重要なアイデア」と位置づけた手法だ。「泉」(1917)などオリジナルが現存しない有名作もあるが、デュシャン公認の複製を含む作品群を展示する。

1920年代のニューヨークとパリにおけるダダ運動への関与も興味深い。「モナ・リザ」に口ひげを描いた「L.H.O.O.Q.」(1919)などの代表作、実験的な短編映画「アネミック・シネマ」(1926)、女性の別人格「ロズ・セラヴィ」を名乗った活動にも焦点が当てられる。

「Box in a Valise」(1935–41)
Box in a Valise (From or by Marcel Duchamp or Rrose Sélavy), 1935-41. The Museum of Modern Art, New York

中央ギャラリーでは、デュシャンの「持ち運べる美術館」とも呼ばれる「Box in a Valise」(1935–41)を披露。自作のレプリカを収めた作品で、1940年代の豪華版やその後の版、未公開の準備資料などが包括的に紹介される。

晩年の代表作「エタン・ドネ」は、20年以上かけて制作した「のぞき見る仕掛け」のインスタレーション。フィラデルフィア美術館の常設作品のため本体ではなく制作過程を示す資料の展示が中心となる見込みだ。

手作業と機械、オリジナルと複製、意図と偶然、物質と概念といった対立を覆したデュシャンの実践に迫る。

Marcel Duchamp
■2026年4月12日(日)〜8月22日(土)
■会場:MoMA::11 W. 53rd St.
■大人$30、65歳以上$22、学生$17、17歳未満無料
※NYS州民:金5:30pmから無料
■https://www.moma.org

Fountain, 1950

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