原田真樹子「人を元気にするアートの力」
MAKIKO HARADA
アートセラピスト、NYアートセラピー協会会長、「グラムソルト」オーナー
・出身:東京都
「癒し」と「アート」の出会い
中学3年の時に来米、今年で在米35年を迎えました。小さな頃から「癒し」と「アート」に興味がありました。「アート」の世界は答えが一つではなく、解釈は幾通りもあり、自由に自分を表現できるところが一番惹かれた部分です。中でも、時の流れやイメージの「瞬間」を永遠に残せる「写真」に最も興味を持ちました。撮る側として、その瞬間をいかにとらえるか、そんなところに惹かれたのかも知れません。一方、「癒し」ですが、明確なビジョンを描いていたわけではありませんでした。ある日、地下鉄のホームで、どこかの大学院のアートセラピー学部のポスターを見て「これだ!と感じたことを覚えています。
心の世界を視覚化する心理療法「アートセラピー」
「アートセラピー」とは、言葉では表現しきれない心の世界を目に見える形にする力を活用する心理療法です。絵や造形、刺しゅうといった、さまざまなアートを通じて心を癒やす治療法で、アートを通じて自己表現をすることで、心身の健康を回復させ、成長や自己理解を促すことを目的にしています。「癒し」と「アート」に興味を持っていた私にとって「勉強したい」と思わせる学問でした。
アートセラピストとして活動
コロンビア大教育学部&プラットインスティチュートにて修士号を習得し、アートセラピストとして活動をはじめました。2003~2008年には、 ハウジング・ワークス(NYC エイズ+心の病&薬物中毒患者の福祉施設) でクリエーティブアートセラピー部の主任、 2010~2016年には、The New School University in NYC で、アートセラピー・インターンシップ・コーデイネーターとして教鞭を執りました。NY州&全米アートセラピー協会認定のアートセラピストとして、これまで子ども、ティ―ンエイジャー、老人、エイズ感染者、精神病患者、薬物中毒者、刑務所歴のある人達にも幅広くアートセラピー行っています。
塩は魔法!
母方の家系が代々食品関係の商売等をしていたことと、十年以上前にキプロス島の塩に出会い、これだ!と感じました。塩は古代から、料理に使用するだけでなく、政治や文化、精神性など、人類の歴史に影響を与え、人間にとって不可欠な存在でした。一例を上げると、塩は金と同様に貴重で、「ホワイト・ゴールド」と呼ばれていました。調味料としての塩は、食品の味を良くする変容的な性質を持っています。世界初のドレッシングは塩であったことから、ラテン語では「サラダ」(sal = salt)と呼ばれています。精神面でも、塩はさまざまな文化の中で保護と治癒の目的がありました。塩は「魔法」であり、魔法の力を持っていると考えています。そんな背景から2012年、塩の販売を主とする「Glamsalt(グラムソルト)」を設立しました。食材のうまみを最高に引き立たせる塩が持つ魔法と、ネガテイブな経験をポジテイブに変えるアートセラピーには共通点が多い。調味料としてだけでなく、多様性、美しさ、精神性、健康面など様々な角度から、塩を体験してもらうことが目的。今では、オンライン販売だけでなく、各地のレストランや店舗などでも取り扱って頂いています。
アートセラピーで心の平穏を
「アートの力=人を元気にさせる!」と信じつつ、ニューヨークと日本だけでなく、インターネットを通し、世界各地でアートセラピーを発信しています。現在は、NY Art Therapy Association で日本人初の理事を務めています。2024年1月、全米アートセラピー協会ニューヨークセラピー支部で、アジア人初の会長にも就任させていただきました。日本人の方々にも「アートセラピーは何か」という部分をもっと知っていただきたい。ポストパンデミック後にも関わらず、世の中はまだまだ不安定が状況が続いています。アートセラピーを通して、多くの方が、少しでも心が落ち着くように、積極的にワークショップなどを行いたいと思っています。
https://www.glamsalt.com
instagram.com/glamsalt
instagram.com/artforwellness