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 よみタイムについて
 
 
よみタイムVol.106 2009年2月6日号掲載

「日本と関わっていたい」というのが2冊目のきっかけ
ノンフィクション作家 トレバー・コーソン

「寿司」の醍醐味アメリカ人に
「The Story of Sushi」にホンモノ込めて

 


スシ・シェフを目指すアメリカ人も少なくない
The story of Sushi
Harper Perennial
$14.95
www.trevorcorson.com
www.storyOfSushi.com
紀伊国屋書店でも入手可

 「歴史、食べ方、マナーなど本当の寿司がわかっていないアメリカ人が本当に多い」と常日ごろ思っていた。何とか、アメリカ人に寿司を知ってもらおうと「ザ・ストーリー・オブ・スシ」を上梓した。
 レストラン格付けのザガットからもお勧め本としてリストされている。
 「誰もが興味を持って読んでくれる読みやすい本が書きたかった」と流暢な日本語で、コーソンさんはいう。この本の読みどころは、スシブームと言われるアメリカで、「多くのアメリカ人が伝統的な寿司を、本物の寿司を食べたいと思っているのに、大きな隔たりがあるのが現実」だ。
 ロサンゼルスにあるスシシェフを目指すアメリカ人の学校を取材するうちに、問題点が次第に浮き彫りになってきた。
 メインキャラクターは21歳のサンディエゴ出身の若い女性。「寿司シェフになりたいというアメリカ人て意外に多いんですよ。僕もびっくりした。彼女も初めは寿司シェフになりたいというだけで、寿司のことは何もわかってない。日本人のシェフについていろいろ習って、だんだんと分かってくるんです」。
 アメリカ人が本当の寿司のことが知りたいと思っても、言葉や文化の違いもあり、日本人の寿司職人自身が、アメリカ人の寿司の食べ方をみて、嫌気がさし、ちゃんとしたものを作らない。
 「小皿に醤油をダブダブ入れて、わさびをいっぱい溶いて、そこにサカナをべちゃっと漬けて食べる人が多い。サカナの微妙な味など分かりようがない。ただ醤油とわさびの味が残るだけ」とアメリカ人の寿司の食べ方に注文をつける。
 もともと、カウンターで食べるという習慣がなく、テーブルで寿司デラックスを注文して、自我流で食べることが多い結果だという。
 「寿司職人というのは、アメリカで言えばバーテンダーみたいな部分もあるし、メニューを見て注文するというより、今日は何がいいの? と客が聞き、寿司職人がネタを推薦するという、客と板さんのインタアクションがとても大事」と説明する。

 ワシントンDCの高校に入った年の夏休み1か月だけ日本に留学。特に日本に興味があったわけではなかったが、16歳での日本体験は全てがアドベンチャーだった。さらに広島での被爆者との出会いはその後、大きな影響を及ぼす。
 高校卒業後は2年間、北京へ留学。中国語、歴史、道教などを学んだ。当時、同室に日本人留学生がいたり、日本人のガールフレンドが出来たり、中国にいながら日本への興味が深まる。アメリカに戻った後、プリンストン大学に入学。その後2度日本に留学、大学の卒業論文は「空海弘法大師と真言宗について」だった、という変り種。
 その一方で、子どものころ、夏休みはかならずメイン州の祖父母の家で過ごした。そのためかロブスターを捕る漁師に憧れた。手製のおもちゃのロブスターボートを作って裏庭で遊んだ。2度目の日本から戻って、メイン州でロブスター捕りの漁師を2年間経験。
 「冬はヒマなんで、小説なんかも書いてました。全然駄目でしたけど(笑)」。自分はノンフィクションが向いている、とボストンに移り、編集者となる。「アトランティック・マンスリー」などに連載した、ロブスターにまつわる話を「シークレット・オブ・ロブスターズ・ライフ」として上梓。生物学的なロブスターの可笑しな話や漁業問題、環境問題などが、楽しく読めると世界中から注目されベストセラーとなる。
 「メイン州の小さな島の漁師の話と、ロブスターの話。ニューイングランドでは魚が乱獲されて捕れなくなったのに、ロブスターだけは増え続けてるし、漁師は儲けているんです。何故か?このビッグシークレットを科学者や漁師が共同で研究、さらにロブスターのセックスやロブスター同士の激しいバトルなんかが受けて、びっくりするほど売れましたね(笑)」とベストセラーの「秘密」を話す。
 日本と関わっていたいと、2冊目は仏教関係か被爆者の本を書こうと思っていたところ、編集者から、1冊目と関係のあるテーマを日本がらみで探せ、と言われて、思いついたのが「ストーリー・オブ・スシ」というわけだ。
 「よく、どの寿司店がいいですかと聞かれるけど、まず自分自身が信頼できる板さんを持つこと。そこからがスタートですね。今、サイドビジネスとして寿司・コンシアージュとしてもやってるんです。本物の寿司が知りたい人には、僕が知っている寿司シェフのところへ連れて行って、ガイド役を務めるんです。楽しく学ぶ、というのが人生の醍醐味じゃないですか」。
 マルチな才能は当面、寿司の世界でさらに開花しそうだ。(塩田眞実記者)