2018年12月21日号 Vol.340

細菌と上手に付き合って健康維持!

新年を迎えるにあたり、人類を長年助けてきてくれた細菌との関係について考えてみたいと思います。近年、腸の健康がさまざまな病気予防に重要であることがわかってきました。脳の働き、免疫系、ホルモンとも深い関係があり、がん、自己免疫疾患、アルツハイマー病、自閉症などのカギとも言えます。マイクロバイオーム、すなわち腸内細菌叢(そう)には約40兆個の細菌が存在し、ヒトの消化器には1000種類以上・330万個の微生物の遺伝子があることが判明しています。これは、ヒトゲノムの遺伝子5万5000個の約150倍。人間のDNAは99.9%が同じですが、マイクロバイオームの構成が同じ人はいないのです。全ての人に効く薬も、全ての人に合うダイエットも存在しない理由がわかりますね。

抗生物質にご用心

腸内細菌叢(そう)の大敵は抗生物質です。ご存じのように抗生物質は、細菌感染には効きますが、ウイルス(インフルエンザウィルス、ノロウィルスなど)感染には効きません。そして抗生物質は、病気を引き起こしている悪い細菌を退治してくれますが、同時に体に必要な善玉菌も殺してしまうので、腸内細菌叢のバランスが大きく崩れます。
 ここで注意したいのは、抗生物質は人間用の薬だけに含まれているわけではないことです。米国で使われる抗生物質の8割は、食肉用の家畜や養殖魚用で、野菜や果物用の農薬にも含まれます。このことからも、野菜は有機、魚は天然もの、食肉は放牧飼育にこだわることがいかに大事かわかりますね。

プロバイオティクスの摂取

腸内の善玉菌を増やす方法として、市販のプロバイオティクスの摂取があります。医師から処方された抗生物質を服用している時は、最低2時間あけてプロバイオティクスを服用することをお勧めします。できれば抗生物質は朝、プロバイオティクスは夜飲むようにするといいでしょう。私たちの腸内環境は十人十色です。菌の種類や構成などもそれぞれに違うので、いろいろなプロバイオティクス商品を試して、自分に合ったものを見つけてください。

潔癖主義もほどほどに

現代人は清潔に対する意識が非常に高まり、巷には抗菌・除菌製品があふれています。ですが、人体には良い菌(常在菌)がたくさんいて、悪い菌の感染から守ってくれていることをお忘れなく。「ちょっとバイ菌がついているぐらいのほうが、体が丈夫になっていい」程度の気持ちでいてください。それよりも、長期間放置しても容易に腐敗しないような食品を食べることの方が不自然です。

 ということで、今回はおなかの調子を調える超簡単レシピ、「アーティチョークのレモンディップ」と、「ターメリック・ミルクティー」をご紹介します。


今週のレシピ「アーティチョークのレモンディップ」

善玉菌の栄養源となり、その増殖を促す食物繊維が豊富なアーティチョーク。野菜のディップに、魚や肉料理のソースに、ドレッシングとしても使えます。

■材料
●アーティチョークの芯(缶入り):1缶(240g)
●レモン汁:大さじ1杯半
●MCTオイル(※1)、アボカドオイル、エキストラバージンオリーブオイルの
 いずれか:半カップ
●ニンニク:4、5片
●イタリアンパセリ:半カップ
●海塩:小さじ半
(※1)MCT(Medium Chain Triglycerides=中鎖脂肪酸)=主にココナッツなどのヤシ科植物の種子の核部分に含まれる天然成分。健康油として注目されています。

■作り方
全部の材料をブレンダーに入れて、なめらかになるまでブレンドすれば出来上がり。

今週のレシピ「ターメリック・ミルクティー」

善玉菌の栄養源となり、その増殖を促す食物繊維が豊富なアーティチョーク。野菜のディップに、魚や肉料理のソースに、ドレッシングとしても使えます。

炎症を抑える効果を持つターメリックを使った、ホリデーにもぴったりのドリンクです。

■材料(1人分)
●アーモンドミルク:1カップ
●ターメリックパウダー:小さじ1
●シナモンパウダー:小さじ4分の1
●生のはちみつ:小さじ1
●生姜のすりおろし:小さじ4分の1
●粒胡椒:少々

■作り方
ブレンダーで全ての材料を混ぜ合わせたら、鍋に移し、好みのティーバッグを入れて、温めてお飲みください。


鹿島 香(かしま・かおる)
米国代替医療協会認定ホリスティック・ヘルス・カウンセラー。
遺伝子組み換え食品に反対する非営利団体主宰。
TEL: 917-478-2192 kaoru@krlllc.com
www.kaorukashima.com

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