2019年12月20日号 Vol.364

健康のためのダイエット考
加工されていない、素の食材を使った食事を

食生活の大切さは、このコラムでも毎回のように書いていますが、皆さんはどのようなことに気を付けていますか? 日本で「ダイエット」というと、=減量・サイズダウンですよね。もちろんその意味もありますが、アメリカでダイエットといえば主に、食生活と食事の内容を指します。
アメリカで人気のダイエットというと、▼ケトジェニック=ネットカーブ1日20グラムの糖質制限を行うことで、体を糖質不足の状態にする食事法。▼パレオ=グルテン、穀物、乳製品、豆類、またベジタブルオイルを除外した、原始人が食べていた食事。▼Whole30=パレオとほとんど同じですが、蜂蜜など自然の糖分の使用も禁止し、30日間での体質改善を謳った食事法。▼HMR(Health Management Resources)ダイエット=減量を目的に、簡単に食べられるシェイクや、スナックバーなどを使用した食事法。
さらに極端なところでは、▼肉食ダイエット=野菜、炭水化物は一切食べず、肉のみを塩・胡椒だけの味付けで食べる。▼フルーツダイエット=果物しか食べない食事法――などもあります。
定番の人気ダイエットは、▼ベジタリアンと▼ビーガンです。これらにはもう説明は不要でしょう。そして、今人気上昇中のダイエットに、▼ぺーガン(PaleoとVeganの造語でPegan)=基本的にはパレオ式で、肉類はほとんど食べず、糖質の少ない穀物はオッケーとする食事法――といったところでしょうか。
HMR以外はそれぞれ健康上の利点を主張していますが、こうしたダイエットを行う時に根本的な概念を間違えると、体重が増えるだけでなく、体調も崩れてしまいますので注意が必要です。
例えば、ベジタリアンではコレステロール及び血圧低下がメリットと言われていますが、野菜よりもチーズとクラッカー、シリアルとミルク、ベーグル、マフィン、マック&チーズなどを主に食べている人が多く、ビタミン・ミネラル不足となり元気がなくなります。
ケトジェニック・ダイエットも、放牧ではなく、肥育場で育った豚や牛の肉、またその肉で作られたベーコンやハムを中心に食べ、市販の「糖質カット」と書かれた加工食品を常備食としていると、短期間で体重は減るかもしれませんが、3ヵ月以上も続けると肝臓に負担がかかりすぎてしまいます。
さらに、肉が大好きな人がいきなりビーガンになって、大豆でできた加工食品のバーガーやミートソース、ナッツ類で加工したチーズなどを食べても、健康にはなれないでしょう。
このように、どのダイエットも基本的に守ってほしいのは、「加工されていない、素の食材を使った食事をすること」です。スーパーでの買い物は、外側(野菜・果物・肉・魚)の通路を中心に買い物をしましょう。そして極力、肉は牧草を食べて育つ放牧肉を、野菜・果物は有機のものを選びましょう。特に健康に問題がない人は、加工食品を控えたすべての食材を、バランスよく食べることが一番良いと思います。
しかし実際は、偏頭痛、便秘、慢性疲労、生理痛、不眠症から始まり、体重増加、疲れやすい、アレルギー、喘息など、何らかの問題を持つ人がほとんどです。そうなると、生活習慣の改善の他に、特定のダイエットが必要になってきます。人それぞれ体質も、抱えている問題も異なるので、どのダイエットが適しているかは、自然療法医、機能性医学の専門医、または私のようなヘルスカウンセラーに調べてもらうのが得策でしょう。我流で極端なダイエットをするのは、逆に健康を損なうことになりかねません。
2020年の新しい年に向けて、長期的な健康のために、食生活の改善を目指しましょう。
本年もよろしくお願いいたします。

新年のレシピ:「素の食材」を使ったシンプルで栄養満点のレシピです
ライム・サーモンサラダ

■材料(2、3人分)
●サーモン缶(天然もの)1缶
●セロリ みじん切り 半カップ
●シラントロ みじん切り 大さじ2
●アボカド小ぶり 1個 細かく切る
●紫玉ネギ みじん切り 4分の1カップ
●ライムジュース 大さじ1
●ニンニク 中1片 みじん切り
●海塩 小さじ半

■作り方
ボウルに全材料を入れ、アボカドとサーモンが良く混ざったら出来上がり。キノアや玄米のグレインクラッカーや、サラダの上にのせてもいいですし、トーストに挟んでサンドイッチにしても美味しいです。

フィッシュチャウダー

■材料(5、6人分)
●シーフード、チキンまたはターキーのスープストック 4カップ
●玉ネギ 中1個 みじん切り
●ベーコン 2枚 1口大に切る
●ニンニク 中2片みじん切り
●ニンジン さいの目切り1カップ
●セロリ さいの目切り1カップ
●マッシュルーム 薄切り1カップ
●カリフラワー 小さめに切る 2カップ
●冷凍コーン 1カップ
●白身魚(タラ・ヒラメなど)1ポンド 1口大に切る
●月桂樹の葉 2、3枚
●海塩 小さじ1〜2
●アボカドオイル(またはオリーブオイル)大さじ1
●クリーム 1カップ
●コショウ 適量
●ネギ、ディル 薬味として適量

■作り方
@大きめの鍋を中火で熱し、ベーコン、玉ネギの順に炒める。
A玉ネギがしんなりときつね色になったらアボカドオイルを足し、ニンニク、セロリ、ニンジン、マッシュルーム、カリフラワーを入れ、さらに炒める。
Bマッシュルームがしんなりとしてきたら、スープストック、海塩、月桂樹の葉を入れ、野菜が柔らかくなるまで弱火で煮る。
C野菜が柔らかくなったところで、クリーム、コーン、白身魚を入れる。
D魚に火が通ったら味をみながら塩・コショウで調整し、器に盛り、ネギとディルの薬味をのせてできあがり。
※写真は、サンクスギビングで残ったターキーを使って作ったチャウダーです。他のスープストックでも作れるので、クリアスープが残ったら捨てずに、このレシピを試してみてください。


鹿島 香(かしま・かおる)
米国代替医療協会認定ホリスティック・ヘルス・カウンセラー。
遺伝子組み換え食品に反対する非営利団体主宰。
TEL: 917-478-2192 kaoru@krlllc.com
www.kaorukashima.com

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