Copyright 2008 YOMITIME, A Division of Inter-Media New York, Inc. All rights reserved


お特な割り引きクーポン。
プリントアウトして
お店に持って行こう!

イベント情報





他にショッピング、ビューティー、
企業情報なども準備中!

 連載コラム
 [医療]
 先生おしえて!

 [スポーツ]
 ゴルフ・レッスン

 NY近郊ゴルフ場ガイド


 [インタビュー]
 人・出会い
 WHO
 ジャポニズム
 有名人@NY

 [過去の特集記事]

 よみタイムについて
   
よみタイムVol.90 2008年6月6日号掲載

プロ棋士7段  石川 陽生

将棋の国際化に奔走
浸透しているのを実感
「今の将棋は定石が通じないんですよ」


子どもたちと将棋を指す石川プロ=日系人会で=

 毎年アメリカと日本を往復、アメリカでの将棋国際化に奔走している。「ニューヨーク将棋クラブ」(林稔会長)は78年に創設、駐在員や在住日本人の人たちが会員になって続けられているが、顧問として15年の間年数回訪問し、子どもたちやアメリカ人に将棋を教えている。
 さる3月28日からシカゴで開催された「第13回全米将棋選手権」では全米各地から32人の強豪が集まったが、優勝したのはペンシルベニアから来たアラン・ベーカーさんで、初めて日本出身者でないアメリカ人だった。「徐々にですが、アメリカ人にも浸透してきているのを実感しましたね」。さらに、4月6日にはニューヨーク日系人会ホールで開催された「第2回ニューヨーク子ども将棋大会」に顔を見せ、飛車角と歩だけで、同時に2人の子どもたちと対局するなど楽しんだ。
 「ニューヨークに来て、子どもたちが将棋を指しているのを見ますと心が洗われるような気がしますね」と微笑む。

 10歳から将棋を始めた。4人兄弟の下で兄たちが将棋を指しているのを見て「負かしてやりたい」の闘争心に火がついた。腕はメキメキ上がり、中学生でアマ4段(プロ5級)を取った。このころから「棋士」を目指した。
 14歳になった時、棋士奨励会に入った。ここで9年間の下積み生活をしたあとの76年、23歳の時晴れてプロ棋士に昇格した。天才棋士の羽生善治は3年半でプロになったが「これは異例中の異例で、プロになるまで8階級をかけ昇るのに9年は平均的」だそうだ。
 下積みのころは、プロのトーナメントの記録係りなどして稼いでいたが「自宅から通っていたので余り金は必要ではなかったですね」と話す。
 20歳で初段、30歳で4段になったが、3段から4段まで3年以上の時間を要した。
 「挫折の連続でしたね」と笑う。1年後輩だった羽生はタイトルを独占する。同期の佐藤康光もタイトル保持者だ。「彼らは天才ですから。ライバルなんてもんじゃないですよ」。
 現在、現役の棋士は140人いる。羽生などA級は10人、B級1組13人、2組20人、C級1組25人、2組60人などとなっている。その頂点が名人で、石川プロは7段でC級1組25人の中に入っている。
 「段々年齢とともに体力が落ちてきますからね。将棋の勝負はある意味では我慢比べみたいなところがあるんですよ」。
 一日中正座をして将棋を指す。若い時は体力もあったが最近は「持久力が落ち、これでいいや」と投げやり的になることもあるそうだ。
 最近の将棋は革新化され「定石」が通じない時代になっているという。
 「昔はこんな手を打っていたら破門になるような手が、まかり通っているんですね。定石を否定して、新しいものを取り入れていかないと若い棋士には勝てませんね」と話す。
 将棋以外ではチェスや囲碁もやる。ミステリー小説を読んだり、健康を考えてテニス、自転車にも取り組んでいる。
(吉澤信政記者)