ニューヨークのローカル・テレビ局「NY1」キャスターから、CNNのリポーターに転身した日系のテレビジャーナリスト、サンドラ・エンドウさん。
4月中旬には同じ日系二世で不動産実業家のサム・スズキ氏と結婚。スズキ氏の仕事のベースはニューヨーク、サンドラさんのCNNでの新しいベースはワシントンDC、遠距離結婚が始まった。多忙な毎日を送りながらも6月1日にセントラル・パークで行われた「第二回ジャパン・デー」では昨年に続き司会を務めるなど本業以外での活躍も目覚しい。
CNNでの今のスケジュールは、朝2時に起床。午前3時までには局に入る。出番はおもに、朝5時から正午まで。担当は「NY1」時代と同様、政治が中心だ。
しかし、これまでにトルネード災害地のテネシーに飛んだり、大学構内乱射事件でイリノイに飛んだりと、さすがに全米ネットワーク・ニュース局注目の「新人」リポーターの面目躍如たるものがある。
さて、新婚ホヤホヤだがすれ違いも多い。夫のサムさんが列車でワシントンに向かい、到着寸前のところで「ごめん。私、今から仕事で地方に飛ぶの」と携帯で連絡、サムさんはあえなくUターンということもあった。
救いはサムさんのスケジュールに、柔軟性がある点だ。夫婦で行ったり来たりをしながら距離の隔たりを埋めている。
CNNは、コミュニティ活動に理解が深く、今回の「ジャパン・デー」のようなイベントの司会は、スケジュールの調整などで後押ししてくれるという。
高校生のころは、バタフライ100メートルで全米記録保持者だった。「今は水泳の変わりに軽く走ってるけど、朝が早いので時間があると居眠りしてますね」とサンドラ・スマイルを見せる。
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大のおじいちゃんっ子。その祖父が、がんで体が弱っていた。CNNからオファーがあったものの「じいちゃんのいるロサンゼルスのテレビ局で」も視野に入れ、随分と迷ったそうだ。
昨年のサンクス・ギビング・デーにロサンゼルスの実家に戻った。「祖父に電話したんです。私がターキー焼くから食べに来てねって。祖父はあまりターキーが好きではなく、その上、病気で家を離れることもあまりなかったんですけど、私が料理するならって、無理してディナーに来てくれたんです」と「おじいちゃん」のことを思い出しながら、目を赤くして涙ぐむ。
サンクス・ギビングのディナーは楽しく賑やかなものとなった。
「ちょうどサムと婚約した後だったし、仕事にも変化が起こり、話のタネはつきなかったの」。大好きな祖父に結婚式にも出てもらいたく「普通婚約したら結婚は1年後くらいでしょ。なのに私たち半年後に決めたんです」。
しかし、大好きなおじいちゃんは結婚式に出ることは叶わなかった。12月下旬、静かに眠りについた。
サンクス・ギビングのディナーが終わって帰る時の「夢をあきらめるな。やり通しなさい」という「じいちゃん」の言葉が今でも耳から離れない、という。
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「将来は北朝鮮の取材とか、戦場での現場取材もしてみたいですね。家族は反対してますが」と笑う。でも、本当に関心があるのは「人の取材」だという。「何かを隠しているような人に迫ったり、隠されているようなものを暴いて真実を伝える、そんな仕事をいつかしてみたいですね」。
大統領選挙を控えているだけに、CNNからさわやかなサンドラ・スマイルが何度も見られそうだ。
(塩田眞実)
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