2021年12月17日号 Vol.412

MET恒例ホリデー特集
年末ガラは「リゴレット」
メトロポリタン・オペラ

「シンデレラ」Photo: Ken Howard / Met Opera

今シーズンのMET恒例のホリデー特集は、「シンデレラ」と「魔笛(マジック・フルート)」の2作品。いずれも、分かりやすいストーリーが英語上演、短縮版となっているので、子ども連れはもちろん、オペラはちょっと敷居が高いと思っている方も、是非この機会に世界に誇るMETの劇場に足を運んで欲しい!



「魔笛」は、ブロードウェイ・ミュージカル「ライオンキング」のジュリー・テイモア演出のファンタスティックなヒット作品。歌手陣の顔触れは短縮版とは思えぬほどの豪華さだ!

「魔笛(マジック・フルート)」Photo: Ken Howard/Metropolitan Opera

「リゴレット」
ニューイヤーズ・イヴ恒例の新演出プレミア・ガラ公演、今シーズンはヴェルディの不朽の名作「リゴレット」。ラスベガスを舞台にした前演出から、今度は1920年代のドイツが舞台。

新演出を担うバートレット・シャー、アールデコ調の舞台美術をクリエイトするマイケル・イェーガン、エレガントな舞台衣装を手掛けるキャスリン・ズーバー、3人合わせてこれまで8つのトニー賞を獲得という偉業を成し遂げている。

オペラ「リゴレット」では、何といっても「女心の歌」が有名だが、第3幕・ 売春宿でのマッダレーナと公爵、この2人を家の外からうかがうリゴレットとその娘ジルダの四重唱は、それぞれの心情が見事なハーモニーとなって浮かび上がる傑作。この四重唱をモチーフにした「リゴレット・パラフレーズ」という名曲がピアノの天才フランツ・リストによって生まれた。辻井伸行さんは、2011年のカーネギー・ホールでのデビュー・リサイタルでこの曲を取り上げている。タイトルロールを務めるバリトンのクイン・ケルシーはMET初挑戦となる。

「リゴレット」Photo: Brinkhoff/Moegenburg / Berlin State Opera

あらすじ
宮廷で道化師を務める醜いリゴレットは、主人である女たらしのマントヴァ公爵に娘を弄ばれたモンテローネ伯爵をからかって、伯爵から呪われる。今度はリゴレットの生き甲斐でもある一人娘ジルダが公爵に弄ばれてしまい、殺し屋の、スパラフチーレを雇って復讐を果たそうとする。しかし妹のマッダレーナも公爵に口説き落とされ、マッダレーナの頼みで公爵の身代わりを殺そうと企む。ジルダは、教会で出会った青年(身分を隠した公爵)に恋をするが、公爵の正体を知っても恋心を捨てきれず、自ら身代わりになろうと決意する。殺し屋から死体の入った袋を受け取ったリゴレットだが、死んだはずの公爵が歌う「女心の歌」が遠くから聞こえてきて唖然とする。袋の中を覗くとそれは瀕死の愛娘ジルダだった。リゴレットは、「ああ伯爵の呪いだ!」と叫ぶ。(針ヶ谷郁)

Cinderella シンデレラ 
■英語上演、短縮版(1時間35分休憩なし)
■原作:ペローの童話
■作曲:ジュール・マスネ
■演出:ロラン・ペリー
■指揮:エマニュエル・ヴィヨーム
■出演:リュセット(シンデレラ):イザベル・レナード
シャルマン王子:エミリー・ダンジェロ
妖精:ジェシカ・プラット
アルティエール伯爵夫人(継母):ステファニー・ブライズ
パンドルフォ(父親):ロラン・ナウリ
■12月17日、19日*、22日、24日*、28日、30日
1月1日*、3日(*はマチネ)

Magic Flute 魔笛 
■英語上演、短縮版(1時間55分休憩なし)
■作曲:ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト
■演出:ジュリー・テイモア
■指揮:ジェーン・グロヴァー
■出演:パパゲーノ(鳥刺し):ロランド・ヴィラゾン
タミーノ:マシュー・ポレンザーニ
パミーナ:ヘラ・ヒサン・パーク
夜の女王:キャスリン・リイック
ザラストロ:モリス・ロビンソン
■12月10日、14日、18日*、21日、23日、27日、29日
1月1日、5日(*はマチネ)

Rigoletto リゴレット 
■新演出/イタリア語上演/2時間40分
■作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ
■原作:ヴィクトル・ユゴーの戯曲「逸楽の王」
■演出:バートレット・シャー
■指揮:ダニエレ・ルスティオーニ
■出演:リゴレット:クイン・ケルシー
ジルダ:ローザ・フェオラ
マントヴァ公爵:ピョートル・ベチャワ
スパラフチーレ:アンドレア・マストローニ
■12月31日(6pm)、
1月4日、7日、11日、15日、19日、22日、25日、29日*(*はマチネ)

★オフィシャルサイト
www.metopera.org



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