2022年12月16日号 Vol.436

林世宝・個展
「メトロカード十二支とゴールデンエイジ」
常に美しいものを追求

「ハッピーラビット」(20×84インチ、メトロカード1000枚)

アーティスト林世宝の個展「メトロカード十二支とゴールデンエイジ」が、12月13日(火)から22日(木)まで、クイーンズ区フラッシングのタウンホールで開催されている。

「メトロカードの十二支を作り、揃えてみようと思ったきっかけは、2018年末に聞いた、数年後メトロカード廃止のニュースでした」と林世宝。

最初の作品は2018年戌年の干支にちなんだプードル犬の「ホープ」。2019年亥年には豚の「ラブ&ピース」。2020年子年は「黄金のネズミ」。2021年丑年は「牛王」――といったように、4年をかけてコツコツ作り上げた12体を一堂に展示する。

「私にとってメトロカードは生活必需品。ニューヨークに来て三十数年、ニューヨーク中を移動するのに毎日使います。誰でも自由に希望の場所に運んでくれるこのカードは、夢を追う人や労働者の味方、無差別の象徴」と林世宝は言う。



12体の作品のために集めたカードは3万枚に及ぶ。十二支はアジア共通の古文化。その動物たちがニューヨークの今を象徴する、色鮮やかなメトロカードのジャケットを羽織っているイメージで創作した作品群だ。

新作の絵画20点は、「ゴールデンエイジシリーズ」。「私の人生で出会った感動の美しい瞬間が絵画に盛り込まれています」と話す。

地下鉄でのプロポーズ、永遠の愛を誓う指輪の交換。指輪はテーマの一つでもあり、絵画の中にいくつもの指輪を実際に埋め込んでいる。

そして桜。「日本留学時代に初めて行った花見で見た満開の桜、花びらが散る桜吹雪に感動を覚えたものです」と振り返る。

桜の作品には、金箔を貼る日本画の技術を使っている。満開の桜から発せられる強いパワーと生命力。仕事も人生も、満開の桜のようでありたいと祈りを込めて作ったという。

「私はアーティストとして、常に美しいものを追求していきたい、アート人生はずっとゴールデンエイジでありたいと思っています」と個展タイトルにかける思いを語る。

■12月13日(火)~22日(木)
■オープニングレセプション:12月17日(土)1:00pm〜4:00pm
■会場:Flushing Town Hall
 137-35 Northern Blvd. Queens
■入場無料


HOME