2022年12月16日号 Vol.436

「意義」ある商品づくりで
人の心と社会をハッピーに
今井千恵・今井千晶・今井クリス

(左から)今井クリスさん、今井千恵さん、今井千晶さん(Photo by KC of Yomitime)

ラグジュアリー・ブランド「CHIE IMAI」のリードデザイナーで創設者の今井千恵さん、娘で同社社長の今井千晶さん、息子でマーケティング・ディレクターの今井クリスさんの「今井ファミリー」が、3年ぶりに対面開催された「クリストファー&ダナ・リーブ財団」主催のファンドレーズ晩餐会「マジカル・イブニング・ガラ」に出席するため、ニューヨークで集結。千恵さんの自叙伝「幸せ・成功のはじまりはたった1枚のファーから(日経BP発行)」の中で、「母が大嫌いだった」と打ち明けた千晶さんと、カナダで現役パイロットとして活動するクリスさんが、「CHIE IMAI」を介して繋がる。

千晶「子どもの頃は、とにかく母が嫌いで(笑)、私が描く『母親像』とかけ離れていたこともあり、彼女を『母』だとは思っていませんでした。家にいても『あそこに電話してちょうだい』と秘書のように使われたり(笑)」。娘にとって千恵さんは「ビジネス・モードの人が家に居る」という感覚だったそうだ。



本が出版されるまで、千晶さんから嫌われていたことを知らなかったという千恵さん。

千恵「千晶はとても周囲に気を使う人です。私が言いたいことをズバリと言うのを見て、彼女は逆に、相手の気持ちを理解しようとする術を身につけたのだと思います」

5歳年上の兄、クリスさんは、忙しい母の代わりに妹の世話をしていた。

クリス「僕にとって母は『すぐ居なくなる存在』で、家に帰ると『またご飯を作らなければ』と(笑)。昔から『誰にも頼れない』と感じていましたね」

自立心旺盛に育ったクリスさんは、親の脛をかじるという考えはなく、高校卒業後に来米。「パイロット」を目指し、自ら道を切り開いた。

千恵「クリスが子どもの頃は『ママみたいに綺麗な人はいない、世界で一番綺麗だ』と話していたのに、大きくなると『母が一番じゃないということが分かってきた』と言うのよ」
クリス「ちょっと覚えていないかな(笑)」

子どもたちには「勉強しなさい」と強制したことはないと話す千恵さんだが、「いつも勉強しなさいと叱られた」というクリスさんと、「行動を制限された」という千晶さん。一児の母でもある千晶さんは、「子どもが3歳までは仕事をせず、成長を側で見守る生活でした」と、子育てについては母を「反面教師」にした。

千晶「私が小学4年生の時、一人でスペインへ行かされました。今、母と同じことを息子にはできないなと実感しています」

クリス「僕たち兄妹は、祖父母を筆頭に出会ったすべての人々に『育てられた』のだと感じています。人間が考える『当たり前』は、さまざまな立場や環境で異なり千差万別。大人が子どもに『あれをしなさい、これをしなさい』と教えるコトは人によって違う、という点には気が付いていました」

千晶「子どもを連れてカナダ在住の兄のところへ行くと、多様な『家族』に出会います。ステップブラザーが3人いる、再婚したのでステップサンに会いに行くなど、普通に話しています。思い返してみると、日本では体験できないさまざまな環境を母は与えてくれました。母だけに育てられていたら、どうなっていたかわかりませんが(笑)、沢山の人に出会ったことで、様々な学びがあったことは事実です」

千恵「子ども達には『自主性』を養って欲しいと思っていました。ヒントは与えますが、あとは自分で考えて行動する。また、世の中に迷惑をかける人間にはなって欲しくないと思っていました。でも彼らの話を聞いていると、私が子どもたちに迷惑をかけていたのかもしれないわネ」

皆が声を合わせて笑った。

ファッションを基盤として、「飲む香水」という発想から誕生した本格芋焼酎「モーリス」や、スペインから直輸入したオーガニック・エキストラ・バージン・オリーブオイル「オロ・デル・デシエルト」を販売する「CHIE IMAI」。変化し続ける時代に、正面から向き合っていく。

千晶「オーケストラに例えると、指揮者がしっかりしていれば奏者が変わってもオケとして機能する、そんな組織を目指しています。私は『千恵』ではありませんから、同じことは出来ません。能力がある人と組み、それぞれのトップが指示を出す。その為には私が常にアンテナを張り、学習することが重要です」

千恵「オーケストラでも指揮者によって曲の解釈が変わりますよね。メンバーを率いるため、『常に学ぶ』ということを念頭に置いて欲しい」

クリス「パイロットも同様で、やはりキャプテンがしっかりしていないとダメ。飛行中のトラブルで予定外の国へ不時着するとなれば大問題に発展します。パイロットは乗客すべての人生に責任がある。CHIE IMAIも同じで、トップとして舵を取るのならば、従業員の人生まで考えられる社長になって欲しい」

千晶「アパレル業界の売れ残り廃棄は、環境問題の1つに挙げられています。ファーは、リメイクして新しいスタイルに蘇らせたり、大切に使用することで長く引き継いでいける。加えて最終的には土に還るサステナビリティ素材です。今後は更に『サステナブル』に真剣に取り組む。見た目だけでなく、素材を考え社会を考える。商品ひとつずつに『深さ・意義』を持たせることで『CHIE IMAI』の商品なら買いたい、と思えるモノ作りを目指していきたい。今後は新規事業として、企業や学校などを対象にしたユニフォーム事業も展開します。『CHIE IMAI』ならではの『統一美の美しさ』を追求し、皆様へご提案いたします」

一流で本当に良いモノ、人の心を、社会を「ハッピー」にするモノ作りが「CHIE IMAI」の根幹だと、今井ファミリーは声を揃えた。

CHIE IMAI最新情報
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