2022年12月16日号 Vol.436

メット・オペラ年末恒例の新演出
25年ぶりの復活上映
ジョルダーノ「フェドーラ」

A set model by Charles Edwards for David McVicar's new production of Giordano's "Fedora."

恒例、ニューイヤーズ・イヴの新演出公演、今回は25年ぶりに復活上演されるジョルダーノの名作オペラ「フェドーラ」。

原作は、「トスカ」の戯曲を書いたヴィクトリアン・サンドゥの小説(1881年)。

19世紀後半、1つのセットをサンクトペテルブルクの伯爵の家、パリのフェドーラの邸宅、スイス・アルプスにあるフェドーラの別荘へと巧みに変貌させるマクヴィカーのドラマチックな演出。次々と沸き起こる事件に巻き込まれ翻弄される、フェドーラとロリス。



ミッレラ・フレーニの当たり役であったフェドーラ・ロマゾフ皇女に演技派のソニア・ヨンチェヴァが挑む。相手役ロリス・イパノフ伯爵に甘い美声が魅力のピョートル・ベチャワ。2人の憎しみが愛情に変化を遂げるどんでん返しのストーリー展開が見どころ。

また、第2幕に登場する、追放されたポーランドのピアニストで秘密工作員であるボレスラオ・ラジンスキの役に25年前の舞台では、本物のピアニストであるジャン=イヴ・ティボーデが出演し嬉しい衝撃を受けた。演奏シーンもあるので、今回は誰が登場するのか乞うご期待!

Sonya Yoncheva in the title role of Giordano's "Fedora." Photo: Paola Kudacki / Met Opera

あらすじ

ロシアの皇女フェドーラは、ウラジミーロ大尉との結婚を控えているが、彼は向かいに住んでいるロリス・イパノフ伯爵に撃ち殺されてしまう。フェドーラは、殺人犯と思われるロリスに近づいて証拠を突きとめ、警察に密告する。

しかし、憎しみとは裏腹に、魅力的なロリスに次第に惹かれていく。

ロリスの弟が事情聴取で捕まり、運悪く留置所が洪水になり死んでしまう。更に母親もショックで亡くなる。フェドーラは、罪なき人を犠牲にしたことを悔やむ。

また、ロリスからフェドーラの婚約者のウラジミーロ大尉が、ロリスの妻と不倫している現場を押さえ発砲し、彼の妻もショックで病死したという衝撃の事実を聞かされる。ロリスとフェドーラはスイスで愛の生活を送るが、彼が外へ出たとたん、投獄されてしまう。本当に愛しているなら、どこにも行かないでと懇願するが、フェドーラは密告した罪の意識に耐え切れず、毒薬を飲んでロリスに赦しを請いながら死ぬ。(針ヶ谷郁)

FEDORA フェドーラ 新演出
■イタリア語上演 2時間25分(休憩1回)
■作曲:ウンベルト・ジョルダーノ(1867~1948年)
■原作:ヴィクトリアン・サンドゥの小説(1881年)
■初演:1898年 ミラノ
■演出:デイヴィッド・マクヴィカー
■舞台美術:チャールズ・エドワーズ
■指揮:マルコ・アルミリアート
■出演:フェドーラ:ソニア・ヨンチェヴァ
    ロリス・イパノフ:ピョートル・ベチャワ
    オルガ:ローザ・フェオラ
    デ・シックス:アルトゥール・ルチンスキ
■12月31日(ガラ)/1月4日/7日/11日/14日(M)、19日/22日(M)/28日
Metopera.org


HOME