2019年12月7日(号外)

[レビュー:イリュージョニスト マジック・オブ・ホリデー]
夢か、魔法か…。まばたき厳禁!
「あぁぁっ!」という間の2時間!


トップバッターのエリック・チエン (All photos by Joan Marcus)


マジシャン兼コメディアンで「ショーマン」の肩書きを持つドム・チェンバース


「インベンター」のケビン・ジェームズ


「アンフォゲッタブル」ことエンゾ・ウェイン


「メンタリスト」のクリス・コックス(Photo © The Illusionists)


マジシャンでコメディアン、俳優でもあるポール・ダベックはMCも担当


世界各国をツアー公演し、観客動員数を更新してきたマジック・ショー「イリュージョニスト」がブロードウェイにカムバック! 5度目の公演となる今回は、最新プロダクション「マジック・オブ・ホリデー」をニール・サイモン・シアターで公演中だ。

暗闇に照明とCGを駆使した幻想的なシーンが浮かび上がる。突如、パフォーマーが現れたかと思うと、パっと消える。オープニングは「これでもか!」というぐらいなド派手な演出で、一気に観客を惹きつける。待ちに待ったショーの始まりだ。

今回のメイン・パフォーマーは6人。そのうちの一人「トリックスター」ことポール・ダベックがMCを担当。今プロダクションでは2人が「イリュージョニスト」に初参加した。2019年度の「アメリカズ・ゴット・タレント」で、セミ・ファイナリストとなったドム・チェンバースとエリック・チエンだ。

オープニングの興奮冷めやらぬまま、トップバッターのエリック・チエンが登場すると、場内は打って変わって静寂に。「マジック界の新星」と言われるエリックは、「アジアズ・ゴット・タレント2019」でグランプリを獲得した華麗な手さばきで、マジックを披露。まさに自在にカードを「manipulate=操る」するマニュピレーターだ。まばたき厳禁!

続いて、マジシャン兼コメディアンで「ショーマン」の肩書きを持つドム・チェンバースが登場。よく見るとジャケットが少々ブカブカで、「お腹周りが膨らんでないか?何か隠しているのでは?」と勘ぐってしまうような出立ちだ。どこから出すのか(当然、服の中からだろうが)、ビールが注がれたグラスを次から次へとテーブルの上に出現させていく、それらが全くこぼれていない!お見事!

ホワイトハウスでオバマ大統領への御前上演なども行ったこともある「インベンター」のケビン・ジェームズ。大掛かりな仕掛けで人体を半分に切ったかと思えば、観客席に下り、少女の目の前でマジックを披露。カメラが至近距離で撮影しているものの、仕掛けが全く解らない…。思わず魔法使いの存在を信じそうになる。

フランスから参加した「アンフォゲッタブル」ことエンゾ・ウェイン。印象的な幻想を、より大規模に上演したいと考えるエンゾは、ステージを目一杯に使ったイリュージョンを展開する。中央の椅子に座ったかと思うとステージ端に瞬間移動。「見えてるよ〜」「タネ明かしか?」と観客に思わせた次の瞬間、また別の場所に出現する…。そうか!きっとエンゾは複数いるのだ!?

観客を巻き込み、奇術と話術で観客を魅了する「メンタリスト」のクリス・コックス。ランダムに観客を指名しているはずなのに「事前に打ち合わせしているのでは?」と疑いたくなる程、観客の個人情報を言い当ててみせる。よし、次回は自分が指名されるようにアピールするぞ。

熟練のマジシャンでコメディアン、俳優でもあるMCのポールも、観客をステージに上げ、マジックを披露。「失敗した!」と笑いを取り、最後に皆を唖然とさせるところは、流石、一流のエンターテイナーだ。エンディングには再びエリック・チェンが登場。全員がステージ上で見守る中、華麗な手さばきを見せ、全てのイリュージョンを締めくくった。

所要時間はインターミションも含めておよそ2時間。華麗で洗練されたマジックの数々、卓越したテクニックの連続で、文字通り「あぁぁっ!」という間の2時間だ。(KC)

The Illusionists Magic Of The Holidays
2020年1月5日(日)まで
会場:Neil Simon Theatre
250 W. 52nd St.
Tel: 212-757-8646
$49~
www.theillusionistslive.com



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