2018年11月16日号 Vol.338

「第1回ニッポン・アメリカ・ディスカバリー映画祭」
作品に込められた監督たちの希望と想い

「知られざる日本」をアメリカで紹介することをコンセプトにした映画祭「第1回ニッポン・アメリカ・ディスカバリー映画祭(NADf2)」(▽共催:マークリエーション、よみタイム、RH+ ▽スポンサー:ヌーンタン・エンターテインメント)が、11月16日(金)と17日(土)の2日間に渡り、イーストビレッジの「アンソロジー・フィルム・アーカイブズ」で開催される。ドキュメンタリーや実在の人物、出来事をテーマにした5作品を選出。ハリウッド映画のような華々しさは無いものの、日本人の精神性、姿勢、文化はもとより、カルト的な側面など「ステレオタイプではない日本・日本人」を紹介する。上映直前、それぞれの監督から、作品に込められた希望や想いが寄せられた。



まっ白の闇
監督:内谷正文

私は薬物を使っていた人間。そして大切な弟を薬物の世界へ引き込んだ! 家族もろとも、真っ暗闇のどん底へ落ちました。生きるも死ぬもままならない時に、薬物依存症回復施設や家族会とつながることができ、そこで薬物依存症者を抱える家族たち(仲間)と出会い、回復の光を感じました。薬物依存症と言う病気の現実を知ってもらいたい、そして苦しんでる人に「回復の光」があることを知って欲しい!「一寸先は闇ではなく光です」。今日一日ありがとうございます。日本とアメリカの薬物事情、文化の違いなども感じていただけたらと思っております。(作品紹介ページへ)


凍蝶圖鑑
監督:田中幸夫

凍蝶の己が魂追うて飛ぶ(高浜虚子)
この句に誘われるように製作した「ITECHO凍蝶圖鑑」に於いて露になるのは「普通とは何か?」という極めてシンプルな問いだ。私は私をみることはできない。人は他の中に自己を発見する。他は鏡であり鑑でもあるのだ。LGBTQという性的な切り口から様々な鏡を展示した。『普通に生きようとするなら それだけで十分狂っている』人の普通は皆違う。多様性の明暗をこそ味わってほしい。 (作品紹介ページへ)


ハーフ
監督:西倉めぐみ・高木ララ

現在、日本で暮らしている人の中には、日本と外国の両方にルーツを持つ人々がいます。文部科学省の最新の調査によりますと、新生児40人中1人はハーフで生まれてくるということです。タレントやモデルとしてテレビ・雑誌で活躍する「ハーフ」の人々ですが、表面的なイメージではなく、マルチカルチャーな人々がどのように日本の社会で暮らしているのか、苦労、悩み、喜びなどをドキュメンタリー映画として、多くの人に見せたいと感じたのです。彼らは日本国籍や日本の名前を持っていても、外国人扱いされていることが多いと思います。自分の国の人たちに十全に受け入れられていない状況がまだ残っていると感じます。「ハーフ」ではない人々に、彼らへの関わり方などについて考えてもらいたいと思い、同時に、外国と日本にルーツを持つ人たちのためにもこの映画を製作しました。(高木ララ) (作品紹介ページへ)


≒草間彌生 わたし大好き
監督:松本貴子

活きの良いネタはコテコテと料理せず、極上の塩と胡椒だけで食するのが一番美味しい。ならばと、あえて余計な情報や解釈を入れず、草間さんの言動に集中出来るように仕上げた。これをきっかけに、草間というアーティストに興味を持ったなら、自ら調べて深めて行って欲しい。私は、草間さんの最大の作品は、「草間彌生自身」だと感じている。だから、丸ごと生の草間さんをスクリーンに閉じ込めた。映画を観る人達が、まるで草間さんと一緒に、その場に居るかのような感覚になってくれたら嬉しい。 (作品紹介ページへ)


デンサン
監督:金森正晃

富山県高岡市という地方都市に生まれ、自分が何者かもわからず幼少期を過ごしてきました。伝統産業や伝統芸能、文化、そこに住む我々のDNAには400年分のチャレンジが受け継がれています。伝統的なモノづくりが淘汰される中、受け継ぐべきはチャレンジする精神。それこそ地方都市の高岡が誇れるものだと気づきました。映画「デンサン」はチャレンジするモノづくりの映画です。消える伝統の技術や精神は、変わることを恐れずに新たな触媒を求め、次なる革新に向かう。「デンサン」もそれを後押しできるように活用できればと思っております。ありがとうございました。(作品紹介ページへ)


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