2018年11月16日号 Vol.338

列強諸国に使い捨てられたアフリカ人
植民地主義を批判
「ヘッド・アンド・ロード」

The Biggest Little Farm

The Biggest Little Farm

The Biggest Little Farm
Photos by Stella Olivier


素描をコマ撮りして繋げたアニメーション「動くドローイング」で知られる南アフリカ共和国出身の現代美術家、ウィリアム・ケントリッジ。彼が手掛けた舞台 「ヘッド・アンド・ロード」が、12月4日(火)から15日(土)までパークアベニュー・アーモリーで上演される。
今年11月11日は、第一次世界大戦終結100周年。当時、列強諸国にアフリカ人が「どのように使われたか」を舞台化した意欲作だ。

ドイツのビスマルク首相が提唱し、開催された「ベルリン会議」(1884〜85年)で、アフリカにおける植民地化の原則が合意。アフリカの土地と人間を分割・統治するための協定で、ヨーロッパ各国は「我先に!」とアフリカへ進出。民族や言語、文化、宗教に関係なく、自国の思惑のみでアフリカ(エチオピアとリベリア共和国以外)を分割。その地で暮らしていた部族たちと「保護条約」を結び、支配しようとした。

「ヘッド・アンド・ロード」は、第一次世界大戦時にイギリス、フランス、ドイツの軍隊によって使われた約200万人以上のアフリカ人がテーマ。馬や鉄道の不足により、運び屋(ポーター)として使い捨てられたアフリカ人のことは殆ど知られておらず、歴史家のキャスリーン・ボマーニはおよそ30万人のポーターが死亡したと推定。ケントリッジは、歴史の暗い残骸にスポットをあてることで、植民地主義を批判する。
音楽は、長年、ケントリッジとコラボしてきた南アフリカの作曲家のフィリップ・ミラーとツツカ・シビシ。横長のステージに歌手、ダンサー、ミュージシャン、パフォーマーを配置。複数の映像や影絵、光を効果的に使用し、忘れ去られた人々の姿をリリカルに描く。

The Head & the Load
■12月4日(火)〜15日(土)
■会場:Park Avenue Armory
 Wade Thompson Drill Hall
 643 Park Avenue
■$40〜
■上演時間:1時間25分(休憩なし)
armoryonpark.org


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