2023年11月10日号 Vol.458

スパイク・リー監督とブルックリン
展示品から見える繋がり
「クリエイティブ・ソース」

①Behind the scenes of Crooklyn (Spike Lee, 1994, 115 min.) Photo: © David C. Lee

ブルックリン美術館で、映画監督のスパイク・リー=表紙写真=をフィーチャーした没入型展示「クリエイティブ・ソース」が2024年2月4日(日)まで開催中だ。

本名はシェルトン・ジャクソン〝スパイク〟リー。ジョージア州アトランタ生まれで、幼い頃にニューヨークのブルックリンに家族と共に転居。「スパイク」は、母親につけられたニックネームだ。

リー監督の作品は一貫して、アメリカ社会における黒人に焦点をあてた「ブラック・ムービー」。人種差別や社会問題を鋭く切り撮る一方で、黒人コミュニティや黒人文化を温かく見つめ、ユニークに描く。今では「最も有名なニューヨーカー」の一人として知られている。


会場では、リー監督の個人コレクションから450点以上を展示。写真、アートワーク、ポートレート、工芸品、雑誌などを7つのテーマ=「黒人の歴史と文化」「ブルックリン」「スポーツ」「音楽」「映画史」「家族」「政治」=を軸にして紹介。40年近いキャリアを通して、リー監督を動かし、インスピレーションを与えたアイテムとの繋がりを紐解く。

映画関連では、「ドゥ・ザ・ライト・シング」「マルコムX」「クルックリン=写真①=」などのポスターや写真、2019年の「第91回アカデミー賞」で脚色賞を受賞した「ブラック・クランズマン」で監督が書いたメモ、数々のトロフィー、代表作のクリップが流れるコーナーもある。

②Installation view, Photo by Danny Perez (All photos courtesy Brooklyn Museum)

また、ブルックリンを拠点にするプロバスケット・チーム、ニューヨーク・ニックスの「スーパー・ファン」としても有名なリー監督。ニックスに特化したコーナーでは=写真②=、壁と天井が「ニックス・ブルー」に塗られ、ニックスの名選手たちのレトロ・ジャージ、サイン入り写真、アートワークなど、ニックスの歴史を記念する品々で埋め尽くされている。それらすべて、リー監督が集めたというから驚きだ。

本展を手掛けたキュレーターのキンバリー・ガントは、「リーは映画製作者として知られていますが、それは一面にすぎず、彼は歴史や文化の保存者でもあります。リーのコレクションを公開することは、彼の足跡と遺産を讃えると同時に、ブルックリンとの強い繋がりを浮き彫りにするでしょう。ブルックリンは、リーの『ストーリーテリング』に不可欠な場所なのです」と述べている。

Spike Lee: Creative Sources
■2024年2月4日(日)まで
■会場:Brooklyn Museum
 200 Eastern Parkway, Brooklyn
■大人$25、学生/シニア$17、4-12歳$10 
https://www.brooklynmuseum.org


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