2020年10月30日号 Vol.385

「現実」捉えたショーケース
「ニューヨーク・ドキュメンタリー映画祭」
初のストリーミング開催

今年11回目を迎えるニューヨーク・ドキュメンタリー映画祭「DOC NYC」が­11月11日(水)から19日(木)まで行われる。コロナ禍の影響で、初のオンライン開催となった。視聴はアメリカ国内のみ。

ドキュメンタリー・フェスティバルとしては全米で最大規模を誇る「DOC NYC」。今回は、世界各地から200を超える長・短編作品と特別イベントが企画されている。これまでのように、オープニング、センターピース、エンディング作品の選出や、上映日の指定もなく、11日から全作品が一斉にストリーミング配信。視聴は、チケット購入者がストリーミングを「開始」してから48時間の間であれば、何度でも可能だ。今回は、編集部が独断で選んだ作品をいくつか紹介しよう。



今年最大の出来事と言えば、やはり新型コロナウイルスのパンデミックだろう。「発生源」とされる中国湖北省の武漢市で撮影された「76 DAYS」=写真①=は、1100万人の都市「武漢市」の封鎖を背景に、最前線で奮闘した医療従事者と患者の姿を捉えたドキュメンタリー。


①76 DAYS, 2020 / Director: Hao Wu, Weixi Chen, Anonymous (All Photos Courtesy DOC NYC)

「WUHAN WUHAN」もまた、COVID-19で閉鎖された武漢市が舞台。避難所にいる隔離された家族、医療従事者、心理学者など、危機を克服するために一丸となった大都市を描写している。

コロナ禍で大打撃を受けたレストラン業界。「RESTAURA NT HUSTLE 2020: ALL ON THE LINE」=写真②=は、ケーブルテレビ番組「トップ・シェフ」でお馴染みのシェフ4人、アントニア・ロファソ、マーカス・サミュエルソン、マニート・チャウハン、クリスチャン・ペトローニを追った作品。パンデミックの影響、業界を救うための代案と、その現実を伝える。


②RESTAURANT HUSTLE 2020: ALL ON THE LINE, 2020. Director: Frank Matson, Guy Fieri



1980年代、キース・ヘリングやジャン・ミシェル・バスキアとともに活動したケニー・シャーフ。若くして死亡したヘリングやバスキアとは異なり、シャーフはイーストビレッジの大変動、エイズ危機、不況などを乗り越えてきた。「Kenny Scharf: When Worlds Collide」=表紙写真&③=は、アートシーンの最先端に立ち続けるシャーフの姿を描く。


③KENNY SCHARF: WHEN WORLDS COLLIDE, 2020 / Director: Malia Scharf, Max Basch



松葉杖を使いながらダンサーとして活動するビル・シャノンを捉えた「CRUTCH」=写真④=。生まれながらにして変形性股関節症を患うシャノン。アーカイブ画像を交えながら幼少期の「不自由さ」から、「挑戦者」として国際的に認められるまでの記録。


④THE REASON I JUMP, 2020. Director: Jerry Rothwell

自閉症と診断された作家、東田直樹が13歳の時に執筆した「自閉症の僕が跳びはねる理由」を基にした「THE REASON I JUMP」=写真⑤=。自閉症の若者5人に注目し、その内面世界を描いた作品で、彼らが「話さない」ことは、「話すことが無いという意味ではない」と伝えている。全作品リストはオフィシャル・サイトで。


⑤THE REASON I JUMP, 2020. Director: Jerry Rothwell

DOC NYC
■11月11日(水)〜11月19日(木)
 視聴はストリーミング開始から48時間まで
■一般$12、IFCメンバー$9
 10チケット$80、5チケット$45
 DOC NYC PROオールアクセス$150
 オールアクセス・フィルム$199
www.docnyc.net




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