2021年10月29日号 Vol.409

コロナ・ワクチン事情
ブースター、モデルナとJ&Jも認可
5〜11歳児、接種認可へ

新型コロナワクチンのブースターショット(3回目の接種)、5〜11歳児への接種認可、異なる製薬会社製ワクチンの混合接種などについて、政府認可とガイドラインの動向が注目されている。状況は日々流動的。ここでは10月31日現在でのワクチン事情をまとめてみた。

米食品医薬品局(FDA)の新型コロナワクチン審査委員会が10月20日、満場一致でモデルナとジョンソン&ジョンソン(以下J&J)のブースターショットを認可した。

接種後しばらくすると効果が下がるとの臨床試験結果を受け、9月にまずファイザー/バイオンテック製(以下ファイザー)ワクチンのブースターショットが認可された。米疾病管理予防センター(CDC)によると、すでに900万人以上がファイザーのブースターショットを接種している。



モデルナのブースター
FDAが認可したモデルナのブースターの条件は、ファイザーワクチンのそれとほぼ同じ。対象は、65歳以上、18歳以上の慢性疾患やがんなどで重症化リスクが高い人、高齢者施設や医療施設勤務者。接種時期も、2回目から最低6ヵ月経過していることも、ファイザーと同じだ。

異なるのは、モデルナの場合ブースターショットの有効成分が、1、2回目の量(100ミリグラム)の半分の50ミリグラムであること。ファイザーの1、2回目の量は30ミリグラムで、3回目も同じ量を接種する。

J&Jのブースター

FDAが認可したJ&Jのブースターショットの対象は18歳以上。条件は、最初の接種から最低2ヵ月が経過していること。もともと1回で完了するはずだったJ&Jの場合、ファイザーとモデルナとはかなり条件が異なる。

CDCが9月に発表した研究結果によると、J&Jを1回接種した時の予防率は68%。モデルナの90%、ファイザーの77%より低かったため、早めのブースターが推奨されるということのようだ。

異なるワクチンの接種
FDAは、モデルナとJ&Jのブースター認可と同時に、「mix and match approach」も認可している。つまり、ブースターでは、1、2回目とは異なる製薬会社のワクチンを接種して良いということ。アメリカ国立衛生研究所(NIH=National Institutes of Health)による助成で行われた臨床試験で、ワクチンをミックス接種することの安全性は確認されている。効果は、同じワクチンを接種した時と同じか、それより高い抗体値が期待できるケースもあったという(※参考・研究結果https://bit.ly/30P67jT)。

これにより、例えばJ&Jを受けた人は、ブースターでモデルナを接種すると、かなりの抗体値が期待できると言う。

5〜11歳児への接種認可へ
FDAは10月29日、5〜11歳児へファイザー製の緊急使用を承認すると発表。これを受けてCDCは11月2日、専門家による諮問(しもん)委員会を開いた上で、最終決定を行う予定だ。

ホワイトハウスはすでに、全米2800万人の5〜11歳児に必要な量のワクチンは確保しているとし、接種開始の準備を進めていると発表している。安心して、迅速に接種ができるようにと、小児科医や、学校周辺の医療施設、薬局など、都市部、僻地を問わず、ワクチン接種が容易にできるよう取り計らうとしている。

子ども向けワクチンは、大人の3分の1の有効成分で臨床試験が行われ、2回の接種で高い抗体値が認められたと報告されている。


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