2021年10月29日号 Vol.409

新パブリック・アート
アーティストからアーティストへのオマージュ
「ジリアン・ウェアリング:ダイアン・アーバス」

© Gillian Wearing. Courtesy of Maureen Paley, London, Tanya Bonakdar Gallery, New York and Regen Projects, Los Angeles. Photo: Nicholas Knight, Courtesy of Public Art Fund, NY.

グランド・アーミー・プラザの北、セントラルパーク入口に位置するドリスC・フリードマン・プラザに10月20日(水)、ニューヨークを拠点に活動した写真家、ダイアン・アーバス(1923〜1971年)の等身大ブロンズ像が登場した。

アーバスは、「映像/写真/アート」の中間領域を探る「ニュー・ドキュメンタリー」を代表する写真家。社会の隅に追いやられた「フリークス(肉体的・精神的に他者と著しく異なる人々)」を積極的に撮影したことで知られている。スティーヴン・シャインバーグ監督の映画「毛皮のエロス 〜ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト〜」では、ニコール・キッドマンが主演、48歳で自殺したアーバスを演じている。



このブロンズ像を手がけたのは、ロンドン在住の若手コンセプチュアル・アーティスト、ジリアン・ウェアリング。私的な人間関係や行動を主軸に、対象者に備わっている「固有性」を捉え・追求する作家だ。絵画、写真、映像、彫刻、インスタレーションなど、その表現方法は多様。

© Gillian Wearing. Courtesy of Maureen Paley, London, Tanya Bonakdar Gallery, New York and Regen Projects, Los Angeles. Photo: Nicholas Knight, Courtesy of Public Art Fund, NY.

一般的に「銅像」は、「台座」の上に設置されるが、このアーバス像は、舗装道路の上に佇む。手には愛用のカメラ、マミヤフレックスを構え、道ゆく人々を静かに見つめている。

主催したパブリック・アート・ファンドは、「同作はひとりのアーティストから、あるアーティストへのオマージュである」と説明。過ぎ去った時を呼び起こすと同時に、これまでにない「展示方法」を提案する。

尚、ウェアリングの回顧展「Wearing Masks」が、11月5日(金)から2022年4月4日(月)まで、グッゲンハイム美術館で開催される。

Gillian Wearing: Diane Arbus
■2022年8月14日(日)まで
■会場:Doris C. Freedman Plaza
 Grand Army Plaza
 5th Ave / 59th St.
https://www.publicartfund.org


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