2023年9月29日号 Vol.455 |
邦画10本を無料配信
多様性を支える地域文化
「JFF+インディペンデント・シネマ」
①成田洋一監督「光を追いかけて」
国際文化交流を実施する日本の専門機関「国際交流基金(ジャパン・ファウンデーション)」が10月末まで、海外の視聴者を対象にオンライン日本映画祭「JFF+ インディペンデント・シネマ2023」を展開中だ。
日本の映画文化における多様性を支え、地域文化に彩を与えている「ミニシアター」に焦点を当てた企画で、2022年に始動。今回はその第2弾として、日本各地のミニシアターや世界の映画人から推薦を受けた邦画10本(別記参照)と、ミニシアター10館を紹介した映像を無料配信している。
今回はよみタイム452号(8月18日号)に続き、5作品を紹介したい。
成田洋一監督の「光を追いかけて」=写真①=は、秋田出身の監督が故郷を舞台に制作した初の映画監督作品。
秋田に越した中学2年生の彰。転校先に馴染めず憂鬱な日々を送っていたある日、空に浮かぶ緑の光を目撃。光を追いかけ、辿り着いた田んぼの中のミステリーサークルで、不登校の同級生、真希に出会う。秘密を共有した二人は急速に近づく一方、学校は過疎化による閉校の日が迫っていた。
推薦館「シネマ・デ・アエル」は、「美しい農村の情景、瑞々しい少年少女の演技をぜひ楽しんでほしい」と推す。
②中江裕司監督「盆唄」
中江裕司監督の「盆唄」=写真②=は、伝統芸能を通して結ばれる福島とハワイの物語。
監督業と共に映画館「桜坂劇場」も経営する中江監督が、双葉町の豊かな伝統芸能と、ハワイのボンダンスにまつわる音楽、その背景を鮮やかに映し出したドキュメンタリー。
③佐近圭太郎監督「わたしの見ている世界が全て」
佐近圭太郎監督の「わたしの見ている世界が全て」=写真③=は、「家族」と「商店」の存在を考えさせるヒューマン・ドラマ。
実家を離れベンチャー企業で活躍する熊野遥風だがパワハラをしたことで退職に。見返そうと起業するが資金繰りで苦戦。そんな折に母が死去、実家に戻った遥風は家族が営む商店の売却を提案。姉は興味を持たず、兄と弟は猛反対。そんな家族を追い出そうと遥風は「家族自立化計画」に乗り出した。
推薦館「シネコヤ」は、「『商店』を通して間接的に日本経済を批判。街における『商店』の存在を考えさせる映画」と評する。
④淺雄望監督「ミューズは溺れない」
淺雄望監督の「ミューズは溺れない」=写真④=は、生き方の多様性をスクラップ&ビルドで描いた青春ドラマ。
美術部に所属する高校生・朔子は船のスケッチをしている際、海に転落。それを目撃した西原が「溺れる朔子」を描きコンクールで受賞、絵は学校に飾られるハメに。さらに西原は、新聞取材で「次回作は朔子をモデルに描く」と勝手に発表して…。
推薦館「元町映画館」は、「青春真っ只中の登場人物たちが自身のアイデンティティに向き合い、相手に歩み寄る姿は、社会を変える大きな一歩になるのでは」と分析する。
⑤沖田修一監督「おーい!どんちゃん」
沖田修一監督の「おーい!どんちゃん」=写真⑤=は、監督が俳優仲間たちと、自身の娘の生後半年から3歳半までを、ハンディーカムで撮影した自主制作映画。
推薦館「上田映劇」は、「監督流の人間賛歌が、ドキュメントな手法によってエンターテインメントに昇華した」と称賛する。
全作品詳細は、オフィシャルサイトで。
FF+ INDEPENDENT CINEMA 2023
■10月31日(火)まで
■視聴無料(要登録)
■視聴サイト:
https://jff.jpf.go.jp/watch/ic2023/
★作品ラインナップ
■鬼に訊け 宮大工 西岡常一の遺言(2012年)
監督:山崎佑次 / ドキュメンタリー / 88分
■光を追いかけて(2021年)
監督:成田洋一 / ドラマ、SF / 104分
■ミューズは溺れない(2022年)
監督:淺雄望/ ドラマ、ロマンス / 82分
■ばちらぬん(2021年)
監督: 東盛あいか/ ドキュメンタリー、ドラマ / 61分
■おーい!どんちゃん(2022年)
監督:沖田修一 / ドラマ、コメディー / 157分
■左様なら今晩は(2022年)
監督:高橋名月 / ドラマ、ロマンス / 98分
■盆唄(2019年)
監督: 中江裕司/ ドキュメンタリー / 134分
■わたしの見ている世界が全て(2022年)
監督:佐近圭太郎/ ドラマ / 82min
■典座 -TENZO-(2019年)
監督:富田克也/ ドキュメンタリー / 59分
■テクノブラザーズ(2023年)
監督:渡辺紘文 / コメディー、音楽 / 97分
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